第二種電気工事士 2021年度(上期 午前)筆記試験の問1~10について、解説していきます
計算問題は毎年似たような問題が出てくるため、点数を稼ぎやすいです。他のサイトでは、計算問題は後回しにして他の暗記問題を解いてと見かけますが、個人的には暗記するより簡単な計算な問題で点数を稼いだ方がいいかなって思います。
計算問題の過程を飛ばさずに解説していきますので、より理解が深めていただければと思います。
それでは、どうぞ!!
2021年度(上期 午前) 問1

一見、ややこしいスイッチがあったり、回路が開放していたりとややこしく思えますが、手順通り解いてみましょう
- 手順①:スイッチを閉じるとどう電流は流れるのか
- 手順②:開放状態では抵抗に電流がながれるのか

手順①スイッチを閉じるとどう電流は流れるのか
スイッチ(S)を閉じたとき、①部分に注目してもらうと短絡状態となっています。短絡すると、0Ωと30Ωに対してどっちに電流が流れるかというと、抵抗が無い0Ωにすべて電流が流れますよね、したがって、①は0Ωとなります。
うーん、わかりにくいなと思う方は、0Ωと30Ωが並列回路だったときを考えてみてください。合成抵抗はどうなるでしょうか。
合成抵抗 =$\frac{0Ω×30Ω}{0Ω+30Ω}$= 0Ω
手順②開放状態では抵抗に電流がながれるのか
②に注目すると、a-b間は回路が開放しているので②に電流は流れないので0Ωとなります。a-b間はスイッチを開放している状態と思ってもらえるといいかもしれません。家の照明スイッチを切っていれば照明は点灯しませんよね?それって回路が開放されているため、電流が流れていないからです。
したがって、②部分は0Ωになります。
①②は0Ωとなるので、回路をまとめると図の右図のように変換できます。
簡易な直列回路となりますので、a-b間の電圧Vabを求めていきましょう
電流I= $\frac{100V}{30Ω+30Ω}$=1.66A したがって、Vab=I×30Ω=1.66A×30Ω=50V
したがって、答えはハの50Vです
2021年度(上期 午前) 問2

電力Pを求める公式は、P=電圧V×電流I ですが、V=IR、I=V/Rをそれぞれ代入すると、
- P=(電流I×抵抗R)×電流I=I2×R (V=IRを代入)
- P=電圧V×(電圧V/抵抗R)=$\frac{V^2}{R}$ (I=V/Rを代入)
上記2式をR=の式に変換すると、1式はR=$\frac{P}{I^2}$ (ロ) 、 2式はR= $\frac{V^2}{P}$(ハ)となります。
また、オームの法則より、R=$\frac{V}{I}$(二)となります。
イの$\frac{PI}{V}$は、抵抗Rは求める式ではありません。
したがって、答えはイです
2021年度(上期 午前) 問3

熱量と電力量の関係は ≪3600kJ=1kW・h≫ があります
電力を求めると、 P=I2×R=20A×20A×0.5Ω=200W
次に、1時間あたりの電力量を求めると、W=P×t =20W×1h=200Wh
電力量は1時間あたりなので、秒に変換すると、1時間は3600秒となりますので
熱量と電力量の関係は ≪3600kJ=3600kW・s=1kW・h≫より、
熱量は、 Q=W×t=200×3600=720000J=720kJ
したがって、答えは720kJのハです。
2021年度(上期 午前) 問4

並列回路となっていますが、問題は回路の消費電力を問う問題です。つまり、抵抗で消費する電力を聞かれています。ラッキーなことに抵抗もリアクトルの両端には100Vなので、リアクトルは無視して大丈夫です。
抵抗に流れる電流Iは、 I=$\frac{100V}{16Ω}$=6.25 A
抵抗で消費する電力Pは、 P=電流I2×抵抗R=6.25A 2 ×16Ω=625W
したがって、答えはロです
2021年度(上期 午前) 問5

三相交流の問題ですね。回路はY(スター)回路となっています。
Y回路は、線間電圧Vℓ=√3×相電圧V 、線電流Iℓ=相電流I の関係があります
断線前の相電圧Vを求めましょう。V=$\frac{線間電圧Vℓ}{√3}$ =$\frac{200V}{√3}$=115.6V
断線後はa-o-b間には電圧200Vですが、a-o間、o-b間は電圧が等しいので$\frac{200V}{2}$=100V
したがって、答えはロです。
2021年度(上期 午前) 問6

手順①:スイッチaのみを閉じる

- スイッチaのみとじると、上図のようになります。
- 電流I1を求めと、電力P=電圧V×電流Iより、 I1=$\frac{P}{V}$= $\frac{200W}{100V}$ =2A
手順②:スイッチa及びbを閉じる
- aとbの抵抗値を求めると、電力P=$\frac{電圧V^2}{抵抗R}$より、R=$\frac{V^2}{P}$=$\frac{100V^2}{200W}$=50Ω
- aとbの負荷に流れる電流は、I=$\frac{電圧V}{抵抗R}$=$\frac{100V}{50Ω}$=2A です。つまり、aとbでは同じ電流が流れている為、真ん中の線には電流がながれません。したがって、I2=0Aです。
したがって、答えは2のロです
2021年度(上期 午前) 問7

1相あたりの電力損失P1を求めると、
P1=電流I2×R=15A2×0.2=45W
三相回路なので、つまり、線が3本あるので1相の3倍となります。
P3=3×P1=3×45W=135 W
したがって、答えはニです
2021年度(上期 午前) 問8

絶縁電線の許容電流についは表の通りです
表より、断面積5.5mm2の許容電流は49Aなので、
電線1本あたりの許容電流は、 電線1本あたりの許容電流=49A×0.49=24A
したがって、答えはハです。
単線 | より線 | ||
直径(mm) | 許容電流(A) | 断面積(mm2) | 許容電流(A) |
1.6 | 27 | 2 | 27 |
2.0 | 35 | 3.5 | 37 |
2,6 | 48 | 5.5 | 49 |
3.2 | 62 | 8 | 61 |
許容電流とは、絶縁電線やケーブルに流すことのできる最大電流のことです。つまり、この電流以上に電流を流すと電線が発熱し、電線が溶けたり、燃えてしまいます。
2021年度(上期 午前) 問9

手順① 許容電流Iwを求める
許容電流Iwを求めるには下の表を使って求めます

※IM:電動機の定格電流 、 その他負荷の定格電流IH
電動機の定格電流値IM=20A+20A=40A 、その他負荷の定格電流IH=10A です。
IM >IH なので、上記表では条件②が該当、また、IM≦50Aなので、
許容電流IWは、IW=1.25IM+IH=1.25×40A+10A=60A
手順② 過電流遮断器の定格電流IBを求める
過電流遮断器の定格電流IBを求めるには次の条件があり、どちらか小さいほうがIBとなります。
- 電動機の定格電流値IM×3 +その他負荷の定格電流IH =40A×3+10A=130A
- 許容電流Iw×2.5 =60A×2.5=150A
したがって、130Aのほうが小さいですので、過電流遮断器の定格電流IB=130A
したがって、答えはハです
2021年度(上期 午前)) 問10

≪配線用遮断器の定格≫と≪コンセントの定格≫、≪電線の太さ≫の条件として、
下記表を参照
分岐回路 | コンセント | 電線の太さ |
15A | 15A以下 | 1.6㎜以上 |
20A 配線用遮断器 | 20A以下 | 1.6mm以上 |
20A ヒューズ | 20A | 2.0mm以上 |
30A | 20~30A |
2.6mm以上 断面積5.5mm2以上 |
40A | 30~40A | 断面積8.0mm2以上 |
50A | 40~50A | 断面積14.0mm2以上 |
それぞれ条件を見てみると、
- イは分岐回路20Aに対して、電線の太さ2.0mm、定格電流20Aコンセントなので、適切
- ロは分岐回路30Aに対して、電線の太さ2.0 mmなので、不適切
- ハは分岐回路20Aに対して、定格電流30Aコンセントなので不適切
- ニは分岐回路40Aに対して、電線の太さが断面積5.5mm2なので不適切
したがって、答えはイです
以上、お疲れさまでした。
「出典:2021年度上期(午前) 筆記試験 第ニ種電気工事士 問1~10:一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp)」
そのほかの問題については、下記リンクをご覧ください。
第二種電気工事士 2019年度(上期)筆記試験 計算問題 過去問解説
第二種電気工事士 2020年度(下期 午前)筆記試験 問1~5 計算問題 過去問解説
第二種電気工事士 2020年度(下期 午前)筆記試験 問6~10 計算問題 過去問解説