第二種電気工事士 2017年度(上期) 筆記試験の問1~10について、解説していきます
計算問題は毎年似たような問題が出てくるため、点数を取りやすいです。今回の問題も過去問と変わらない問題ばかりです。ぜひ、最初の10問を完璧に解き20点を確保しましょう。
それではどうぞ!!
2017年度(上期) 問1

1 回路を左と右で分けて、並列回路の合成抵抗を求める
2 a-b間の合成抵抗を求める
1. 回路を左と右で分けて、並列回路の合成抵抗を求める

回路を右と左で分けて、右側の合成抵抗をR1、左側の合成抵抗をR2として計算します。
右側の合成抵抗R1は、並列回路の下部分が短絡しているので、0Ωとなります。
計算式で表すと、R1=$\frac{5Ω×0Ω}{5Ω+0Ω }$=$\frac{0}{5}$=0Ω 。
左側の合成抵抗R2は、5Ωと5Ωの並列回路なので、R2=$\frac{5Ω×5Ω}{5Ω+5Ω }$=$\frac{25}{10}$=2.5Ω となります 。
2. a-b間の合成抵抗Rabを求める
a-b間の合成抵抗 Rabは、1.で求めた合成抵抗R1、R2より求められるので、
a-b間の抵抗Rabは、 Rab = R1+R2= 0+2.5Ω=2.5Ω
したがって、答えはイです
2017年度(上期) 問2

各電圧値により、力率を求める
1. 各電圧値により、力率を求める
電源電圧204V、抵抗に掛かる電圧180Vと問で与えられているので、力率cosθは、
cosθ= $\frac{VR}{V}$ = $\frac{180V}{204V}$=0.882 =88.2%となります。
したがって、答えはニです
2017年度(上期) 問3

電線の抵抗Rは下記の式によって、求められる
R=$\frac{ρL}{A}$ (ρ:抵抗率 、L:長さ 、A:断面積 )
※断面積Aは、円の面積の為、半径×半径×πです。 A=$\frac{D}{2}$×$\frac{D}{2}$×π=$\frac{D^2}{4}$×π(D:直径)
R=$\frac{ρL}{A}$=$ \frac{ρL}{(\frac{D^2}{\ \ 4\ \ }×π)}$=$\frac{4ρL}{D^2 π}$
電線の抵抗Rは下記の計算式となります。
- R=$\frac{ρL}{A}$ (ρ:抵抗率 、L:長さ 、A:断面積 )
- 断面積Aは、円の面積の為、半径×半径×πです。 A=$\frac{D}{2}$×$\frac{D}{2}$×π=$\frac{D^2}{4}$×π(D:直径)
- R=$\frac{ρL}{A}$=$ \frac{ρL}{(\frac{D^2}{\ \ 4\ \ }×π)}$=$\frac{4ρL}{D^2 π}$(ρ:抵抗率 、L:長さ 、A:断面積 )
上記抵抗の式ですが、抵抗A,Bの比較の為、長さL、直径D のみに注目してみとR=L/D^2となります
したがって、抵抗RA,RBに数値を代入すると、
- 抵抗RA=$\frac{L}{D^2}$=$\frac{20}{1.6^2}$=7.81
- 抵抗RB=$\frac{L}{D^2}$=$\frac{40}{3.2^2}$=3.91
抵抗RAは抵抗RBの何倍でしょうか。
抵抗RA/抵抗RB=$\frac{7.81}{3.91}$ =2
したがって、答えはイです。
2017年度(上期) 問4

コンデンサを並列に接続し力率改善する場合、電流値が減少します。
式で表すと複雑になるので、これは覚えておきましょう。
したがって、答えはニです
【式で表記すると】
複素数表記で計算しないといけない為、電工二種の問題では難易度がかなり高くなります。
力率改善前の電流は、I=$\frac{V}{Z}$=$\frac{V}{R+jX}$=$\frac{V}{R+jX}$× $\frac{R-jX }{R-jX}$ =$\frac{V}{R^2+X^2}$(R-jX)となります。
コンデンサを設置し力率改善後すると、力率改善前の虚数部(j)の部分がなくなる為、電流I= $\frac{VR}{R^2+X^2}$となります。虚数部が無くなる分、電流値は減少することになります。
2017年度(上期) 問5

1 断線前のa-o間の電圧V(相電圧)を求める
2 断線後のa-o間の電圧Vを求める
【ポイント】
Y回路は、線間電圧E=√3×相電圧V 、線電流I=相電流I の関係があります
相電圧V:抵抗両端の電圧(黄色枠部分) 線間電圧E:線と線の間の電圧(赤枠部分)

1 断線前のa-o間の電圧V(相電圧)を求める

断線前のa-o間の電圧は相電圧Vなので、V=$\frac{線間電圧}{√3}$ =$\frac{200V}{√3}$=115.6=116V
2 断線後のa-o間の電圧Vを求める

断線後はa-o-b間には電圧200Vが掛かっています。
つまり、a-o間、o-b間は電圧が等しいので$\frac{200V}{2}$=100Vとなります。
したがって、答えはイです。
2017年度(上期) 問6

1 配電線路10mの抵抗値を求める
2 電流を求める
3 配線における電圧降下を求める
1. 配電線路10mの抵抗値を求める

上記左図の赤丸内の配線10m分の抵抗値Rは、1000m当たり5Ωなので、
抵抗R= $\frac{10m}{1000m}$×5Ω= 0.05Ω となります。 上下の2本分あるので注意。(右図は抵抗値を記入)
2. 電流を求める
抵抗負荷1500Wにかかる電圧100Vは問で与えられているので、電力P=電圧V×電流Iの関係より、電流Iの式に変換すると、
電流I= $\frac{P}{V}$= $\frac{1500W}{100V}$=15A となります。
3. 配線における電圧降下vを求める
上記左図の赤丸の配線部分のみの電圧降下vを求めるので、1,2で求めた抵抗R、電流Iより
v=抵抗R×電流I+抵抗R×電流I=0.05Ω×15A + 0.05 Ω×15A =1.5V となります。
したがって、答えはハです
2017年度(上期) 問7

絶縁電線の許容電流についは表の通りです
表より、直径2.0mmの許容電流は35Aなので、
電線1本あたりの許容電流は、電線1本あたりの許容電流=35A×0.7=24.5A
したがって、答えはロです
単線 | より線 | ||
直径(mm) | 許容電流(A) | 断面積(mm2) | 許容電流(A) |
1.6 | 27 | 2 | 27 |
2.0 | 35 | 3.5 | 37 |
2,6 | 48 | 5.5 | 49 |
3.2 | 62 | 8 | 61 |
許容電流とは、絶縁電線やケーブルに流すことのできる最大電流のことです。つまり、この電流以上に電流を流すと電線が発熱し、電線が溶けたり、燃えてしまいます。
2017年度(上期) 問8

1 電動機の定格電流 IMを求める
2 その他負荷の定格電流IHを求める
3 電線の許容電流Iwを求める
1.電動機の定格電流を求める
電動機の定格電流IMは、問より、10Aと30Aなので、 電動機の定格電流IM=10A+30A=40A
2.その他負荷の定格電流を求める
その他定格電流IHは、問より、15Aと15Aなので、 その他負荷の定格電流IH=15A+15A=30A
3.許容電流Iwを求める
電線の許容電流Iwを求める条件として、下記の条件があります※IM:電動機の定格電流、その他負荷の定格電流IH

上記1.2.より、IM(40A) > IH(30A)なので、条件②(IM≦50A)となりますので、許容電流Iwは、
許容電流Iw=1.25IM+IH=1.25×40A+30A=80A となります。
したがって、答えはハです。
2017年度(上期) 問9

≪配線用遮断器の定格≫と≪コンセントの定格≫、≪電線の太さ≫の条件として、
下記表を参照
分岐回路 | コンセント | 電線の太さ |
15A | 15A以下 | 1.6㎜以上 |
20A 配線用遮断器 | 20A以下 | 1.6mm以上 |
20A ヒューズ | 20A | 2.0mm以上 |
30A | 20~30A |
2.6mm以上 断面積5.5mm2以上 |
40A | 30~40A | 断面積8.0mm2以上 |
50A | 40~50A | 断面積14.0mm2以上 |
それぞれ条件を見てみると、
- イは分岐回路20Aに対して、定格電流15Aコンセント、電線の太さ1.6mmなので適切
- ロは分岐回路30Aに対して、電線の太さ2.0mmなので不適切
- ハは分岐回路20Aに対して、定格電流20Aコンセント、電線の太さ2.0mmなので適切
- ニは分岐回路30Aに対して、定格電流20Aコンセント、電線の太さ2.6mmなので適切
したがって、答えはロです
2017年度(上期) 問10

【分岐回路の過電流遮断器の取り付け箇所の条件】は、下記3通りです。
- 幹線の分岐点から3m以下の箇所に過電流遮断器を設置しないといけないですが、次の2,3の条件により3m以上の位置に取り付けできます
- 3m以上~8m以下:IW≧IB×0.35 (Iw:電線の許容電流、IB:幹線の過電流遮断器の定格電流)
- 8m以上:IW≧IB×0.55

VVRケーブル太さ5.5mm2 の許容電流IWは42A、過電流継電器の定格電流IBは50Aと与えられています。
$\frac{ VVRケーブル太さ5.5mm^2の許容電流 IW }{ 過電流継電器の定格電流IB }$=$\frac{42A}{50A}$=0.84 となります。
過電流継電器の取付条件を見てみると、0.55以上の0.84なので、条件3に当てはまるので8m以上なので制限なしです。
したがって、答えはニです
以上、お疲れさまでした。
「出典:2017年度上期筆記試験 第ニ種電気工事士 問1~10:一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp)」