エネルギー管理士(エネ管)の電気分野を試験で取得しようとしてる方は、電験のように科目ごとの参考書が無かったりするので、『参考書は何を使用すれば良いのか』、『どのように勉強したら効率良く勉強できるのか』、『そもそも電験3種より難しいの?』 等々疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
私自身も最初はどこから手をつけて良いのかわからず試行錯誤やっていた為、一発合格できず1年目は2科目合格、2年目に合格することができました。ただ、効率よく最初から勉強していれば1年で取得できたんじゃないかと思います。私と同じようにどのように勉強して良いかわからない方へ向けて、エネルギー管理士(電気)の試験を独学で勉強時間400時間で合格したときの6つの勉強方法・具体的な10の取り組み手順や使用した参考書を紹介しますので参考にしていただければと思います。
私自身の最初のスペックとしては、電験2種を合格して5年以上経過しており殆ど電気の知識が薄れている状態だった為、過去問1回目は各科目ともに20%も取れない状況から開始しました。

◆エネルギー管理士(電気)の試験概要
◆難易度について:電験三種との比較
◆使用したテキスト:過去問20年分
◆勉強時間:400時間
(1年目:250時間、2年目:150時間)
◆勉強方法:勉強方法6つの手順、具体的な10の取り組み手順を紹介
◆科目合格:4科目の取得する順番
それではどうぞ!!
エネルギー管理士 試験概要
エネルギー管理士とは?
エネルギー使用量の多いビル・工場等は、エネルギーの使用の合理化に関しエネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善・監視等の業務を管理するエネルギー管理員が必要となるが、エネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちから選任しなければなりません。
①受験資格:誰でも受験可能だが、免状申請には実務経験が1年以上必要。
※エネルギー使用の合理化に関する実務に1年以上従事していること。
②受験料:17,000円
③試験科目:(1)熱分野 (2)電気分野 の2通り。どちらかを受験
(1)熱分野:①エネルギー総合管理及び法規 ②熱と流体の流れの基礎 ③燃料と燃焼 ④熱利用設備及びその管理
(2)電気分野:①エネルギー総合管理及び法規 ②電気の基礎 ③電気設備及び機器 ④電力応用
④受験時期:8月上旬 (申込:5月中旬~6月上旬)
⑤合格基準:4科目60%以上で合格
科目制度があり、3年間に4科目合格すれば試験合格となります
※詳細は下記表を参照
⑥合格率:20~30%程度 ※詳細は下記表を参照
科目(電験三種と比較)
①エネルギー総合管理及び法規 (試験時間80分)
電験三種でいうと法規にあたる科目です。4科目の中では一番簡単な科目となります、
問題は『エネルギー合理化に関する法律等』と『電気に関する簡単な計算問題』が出題されます。
◆ポイント
・電気に関する簡単な計算問題 は毎年同じような問題の為、必ず解答できるようにして点数を稼ぎましょう
・ エネルギー合理化に関する法律が変わっている可能性もあるので数年前に販売された過去問を使用する場合は注意が必要。なるべく最新のものを使用しましょう。
②電気の基礎 (試験時間80分)
電験三種でいうと理論にあたる科目です。
ただ、電験三種の機械の自動制御の問題が含まれています。
問題は『電気及び電子理論』と『自動制御及び情報処理』 、『電気計測』 が出題されます。
◆ポイント
・ 情報処理 については電験三種で馴染みが無いため、覚えるに苦労するかもしれません。
・ 計算問題は電験三種と同等のレベルとなります。
③電気設備及び機器 (試験時間110分)
電験三種でいうと電力と機械にあたる科目です。
問題は『工場配電』と『電気機器』 が出題されます。
◆ポイント
・ 計算問題、暗記問題は半々で出題。
・ 計算問題は過去に出題された類似問題が出題されるので過去問を繰り返し行おう。
④電力応用 (試験時間110分)
電験三種でいうと機械プラスα(物理)にあたる科目です。一番難関の科目です。
問題は『電動力応用』と『【電気加熱】,【電気化学】,【照明】,【空気調和】 4題中2題を選択』
◆ポイント
・ 計算問題がメイン。
・ 電動力応用の最初の計算問題は電験二種より難関の問題が多い為、この計算問題は諦めましょう 。
・ その他の計算問題は過去に出題された類似問題が出題されるので過去問を繰り返し行おう。
・ 選択問題の1題は電気加熱を選ぼう。
暗記問題と計算問題半々です。
計算問題は、kJ ⇔ kW の変換をきちんと理解してしまえば難しくはないと思います。
暗記問題に関しても毎年似た感じの出題内容となっています。
【過去問は下記のリンクより見ることができます】
科目合格制度
エネルギー管理士には、電気主任技術者と同様に科目合格制度があり、下記表のように3年間で4科目合格すれば試験合格となります。
例えば、下記表で2021年度に電力応用が不合格となった場合、2022年度には【エネルギー総合管理及び法規】・【電気設備及び機器】の試験免除は失効し、2022年度には 【電力応用】・【エネルギー総合管理及び法規】・【電気設備及び機器】 を受験しなければなりません。
エネルギー総合管理及び法規 | 電気の基礎 | 電気設備及び機器 | 電力応用 | |
2019年度 | 合格 | 不合格 | 合格 | 不合格 |
2020年度 | 試験免除 | 合格 | 試験免除 | 不合格 |
2021年度 | 試験免除 | 試験免除 | 試験免除 | 合格 |
合格率
2012年度までは電気分野と熱分野で分かれて合格率が発表されていましたが、2013年度より合算した合格率で発表されています。
※熱分野の方が電気分野より合格率が少し高いのが特徴でした。
年度 | 受験者数【名】 | 合格者数【名】 | 合格率【%】 |
2013 | 11,102 | 3,094 | 27.9 |
2014 | 10,613 | 2,280 | 21.5 |
2015 | 10,537 | 2,454 | 23.3 |
2016 | 10,468 | 2,108 | 20.1 |
2017 | 10,558 | 3,002 | 28.4 |
2018 | 9,912 | 2,770 | 27.9 |
2019 | 9,830 | 3,207 | 32.6 |
2020 | 7,707 | 2,828 | 36.7 |
難易度 (電験三種と比較)
合格率をみると20~30%と、電験三種の10%以下と比較するとエネルギー管理士の方が簡単じゃないかと思う方もいると思いますが、計算問題は電験三種より難易度は高いです。では、なんでエネルギー管理士の方が合格率が高いというと、エネルギー管理士の問題は過去問に類似した問題が多く出題されるからです。
エネルギー管理士を受験する方で電験三種を持っていない方は受験することをオススメします。
電験三種とエネルギー管理士(電気)の試験は殆ど出題範囲が同じ為、エネルギー管理士の知識があれば電験三種も合格できる実力はあります。
下記リンクに電験三種に関する記事がありますので是非ご覧ください。
使用したテキスト
電験を持っている方は、過去問20年分のみで大丈夫です。正直これだけで大丈夫かなと不安でしたが、エネルギー管理士は過去問の類似問題が多く出題されるので、テキストは過去問のみで合格できました。
電験を取得していない、受験したことが無いという方は、エネルギー管理士の専用の参考書が無い為、電験3種の参考書(理論・電力・機械)があればベストです。
過去問20年分のテキストは無い為、10年分と10年分の2冊を使用しました。ただ、過去11年前~20年前の過去問は中古品の為、アマゾンやメルカリ等を利用して手に入れるしかないです。
●使用したテキスト
- エネルギー管理士(電気分野)過去問題集(1年~10年前) :オーム社
- エネルギー管理士電気分野模範解答集(11年~20年前) :電気書院
使いやすかったのはオーム社の過去問でした。問題下に解説が載っている為、問題を解いてすぐに解説が載っていので効率良く取り組めました。
解説が一番後ろのページに載っているテキストは正直ページをめくるのが面倒くさいです。
勉強時間について
1回落ちた為、2回受験しましたが、計約400時間勉強しました。
- 1回目:250時間(1か月半)
- 2回目:150時間(1か月半)
平日2~4時間、休日:8~10時間 といった感じです。
平日の勉強時間は、通勤時間や休憩時間中の隙間時間を利用し、家では1~2時間ほどやっていました。
勉強方法 について
私が行った勉強方法は下記の6つです。
- 目標を立てる
- 過去問20年間分を何回も繰り返す
- わからないところはチェックする
- わからない計算問題をまとめて解く日を決める
- どうしてもわからないところは諦める
- 覚えずらい暗記系は寝る前と朝に覚える
1.目標を立てる
目標が無いとだらだらしてしまう為、目標があるとそこに向かって取り組めばよいのでモチベーションが下がりにくいです。
1回目に受験した時は無計画で申込期限ギリギリに軽い気持ちで挑んだ為、かなりだらだらしてしまい結果落ちたので、目標をしっかり立てて計画的に実行することが重要です。
例えば、過去問10年分を10日で1周するといった目標を立てる。この場合は、1日過去問は1年分を勉強する。平日と休日があるので、休日に負荷を掛けて行うようにする等です。
2. 過去問20年間分を何回も繰り返す
エネルギー管理士の問題は過去に出題された類似問題がよく出ますので過去問は超重要です。
直近で出題傾向が変わっても直近の10年分をやっていれば対応できますので、直近10年分の過去問は特に集中して取り組みましょう。
エネルギー総合管理及び法規については、法令が変わっている可能性もあるので法規は直近の10年分を中心に取り組みましょう。
3. わからないところはチェックする
過去問を解いてみて、わからないところはチェック・付箋を貼って、ノート等にまとめましょう。最初の方はわからないところが多いので、わからなかった箇所全体を1週間に1回は見返すようにし、少なくなってきたら2~3日で1回見返す等周期的に見返す癖をつけましょう。
4.わからない計算問題をまとめて解く日を決める
わからなかった計算問題はまとめて解くようにすることで、理解が深まります。
例えば、問題集や過去問を2周目→3周目に行く前に、分からなかった計算をまとめて解く日を設定しましょう。ここで重要なのは、科目ごとに行うことです。過去問の年度ごとに行うのではなく、電力応用なら電力応用のみを取り組むことです。また、ある程度わからない部分が少なくなったところで、電力応用の電気加熱ができなければ電気加熱の計算問題をまとめて解くことで、似たような問題を解くので効率よく学習できます。
一番のポイントですが、解くことができた計算式は必ず残しておくことです。前回は何で解けたんだと思うことが多々あるので計算式を過去問やノート等に書いておくことで忘れずに思い出すこともできます。
5.どうしてもわからないところは諦める
特に電力応用の最初の計算問題は難易度が高く、電験二種以上です。しかもそれに時間かけても10点も取れない、解ける保証もないのでこれは捨てましょう。
エネルギー管理士の試験は100%合格ではなく60%合格なので、どうしてもわからないところは諦めましょう。
ただし、わからないからすぐに諦めるのはダメです。大体過去問を90%以上理解できていることが条件です。
6.暗記系で覚えずらい箇所は寝る前と朝に覚える
これは完全に自分にあった覚え方なので参考にしなくても大丈夫です。方法としては、寝る1時間前くらいに布団に入りながら読み返して、事前に写メで該当箇所を撮って朝の通勤・通学時に読み返すと記憶に定着しやすかったです。
具体的な勉強の取り組みについて
この取り組み手順は私自身が実際に受験してみて効率が良く勉強できると気づいた手順です。最初からこの手順を取り入れていればもっと短時間で合格できていたかもしれもせん。
上記の勉強方法6つを基本として、具体的に下記の手順10の通り取り組みました。
勉強期間3か月、約400時間( 平日2~4時間、休日:8~10時間 )を想定しています。
◆取り組み手順
- 過去問9年分を取り組む(1回目:1週間)
- できなかった問題のみ取り組む(1回目:1週間)
- 過去問9年分を取り組む(2回目:1週間間)
- できなかった問題のみ取り組む(2回目:2週間)
- 過去問9年分を取り組む(3回目:5日)
- できなかった問題のみ取り組む(3回目:2日)
- 過去問19年分を取り組む(4回目:1週間間)
- できなかった問題のみ取り組む(4回目:1週間)
- 仮試験として直近1年前の過去問を取り組む(1日)
- 本番まで手順7~8を繰り返し行 ※手順7を過去問20年分とする
1.過去問9年分を取り組む(1回目:1週間)
直近1年前の過去問は仮試験として1か月前に行うため、過去問2~10年前分の9年分を行う。
できなかった問題にはふせんやチェック等し、次にできなかった問題を中心に取り組むのでパッと見でわかるようにしましょう。
2.できなかった問題のみ取り組む(1回目:1週間)
できなかった問題のみを行います。暗記系の問題に関してはノート等に要点を書いたりし隙間時間等に見れるよう写メを撮っときましょう。
計算問題は計算過程を覚えることがめちゃくちゃ重要です。解いた計算過程をは必ずノート等に書き残しておけば、ど忘れした際にも計算過程が残っていれば思い出すことができるので、消さずにノート等に書き写しましょう。
書いたノートは、1週間で1回は読み返すようにしましょう。
3. 過去問9年分を取り組む(2回目:1週間)
引き続きできなかった問題はふせんやチェックをしましょう。1回目にできなかった問題ができるようになったらチェックは外しましょう。
4.できなかった問題のみ取り組む(2回目:2週間)
できなかった計算問題・計算過程はノート等に書き写し、ノートは1週間に1回は見るようにしましょう。
過去問2回目でできなかった計算問題は、1回目よりだいぶ少なくなっていると思いますのでノートに書き写す苦労も減りますのでこのタイミングで書き写します。
暗記系に関してはノートに書き写していますが、計算問題は計算過程のみ書き写しているだけなので、下記のようにまとめましょう。
科目の項目ごとにまとめることで類似問題をまとめて見直すことができるので理解度かなり増すことができるので面倒ですが、類似問題ごとにまとめましょう。
例えば:電力応用の電気加熱の計算問題3年分できないということであれば、下記図のように3年分の電気加熱の計算問題・計算過程をまとめてノート等に書き写します。計算問題を書き写すのはめんどうなのでプリントし貼るか簡易的にまとめるようにします。

5.過去問9年分を取り組む(3回目:5日)
できなかった問題は手順4でかなり減ったと思います。
引き続きできなかった問題はふせんやチェックをしましょう。2回目にできなかった問題ができるようになったらチェックは外しましょう。
6.できなかった問題のみ取り組む(3回目:2日)
追加でできなかった問題は少ないと思いますが、追加分があれば手順4と同様にノート等に書き写しましょう。
引き続き、 ノートは1週間に1回は見るようにしましょう。
7.過去問19年分を取り組む(4回目:1週間)
この段階で11年~20年前の過去問を取り入れましょう。ここで注意したいのが、 エネルギー総合管理及び法規については、 法令が変わっている可能性があるので最新の過去問と古い過去問に差異があれば最新の過去問が正しい情報です。また最新の過去問の場合は、法令の変更があれば解答も直してくれています。
8.できなかった問題のみ取り組む(4回目:1週間)
11年~20年前の過去問 のできなかった問題をノート等に書き写すのは、かなり面倒なのでどうしても覚えたい・苦手な問題のみ書き写しましょう。
引き続き、 ノートは1週間に1回は見るようにしましょう。
9.仮試験として直近1年前の過去問を取り組む(1日)
本番まで1か月になったら、仮試験として昨年の過去問を実力試しでやってみましょう。正直この段階で50%できれば上出来です。
手順1の過去問1回目と変わらない科目があれば、その科目は諦めて科目合格に切り替えた方がいいかもしれません。その科目を頑張ろうとすると他の科目の点数が落ちで、結果全ての科目が不合格となる可能性もございます。
10.本番まで手順7~8を繰り返し行 ※手順7を過去問20年分とする
本番まで間、手順7~8をとにかく繰り返してできない問題を極力無くしてください。
科目合格を狙う場合の取得する順番
エネルギー管理士には科目合格制度があるので3年間に4科目合格すれば試験合格となります。
エネルギー管理士(電気)の試験の科目ごとの難易度は、電力応用→電気基礎・電気設備及び機器→法規の順となります。
電力応用は計算問題が難しくこれを合格できれば、合格できたものと思っても大丈夫なくらいです。
受験料が17,000円と高額な為、科目合格は3年ですが、極力2年で合格を目指しましょう。
まず初めの1年目に電力応用、できれば電気基礎も合格し、2年目で残りの電気設備及び機器は計算も難しいですが、簡単な法規とあわせて受験し2年目で取得しましょう。