第1種電気工事士 2017年度 筆記試験の問1~11について、解説していきます
それではどうぞ!!
2017年度 問1

誤っている説明を選択する問題ですね。
ここでは、リアクタンスXLとインダクタンスLの公式を覚えていれば解ける問題となっています。 公式は下記の通りです。
1.リアクタンスXL=2π f L (f:周波数、L:インダクタンス)
2.インダクタンスL = $\frac{μAn^2}{ℓ}$ (μ:透磁率、A:断面積、n:巻数、ℓ:長さ)
3.電流値I=$\frac{V}{XL }$= $\frac{V}{2π f L }$ =$\frac{V×ℓ}{2π f μAn^2}$
この情報をもとに問を見てみると、
- イは、3式の電流値より、巻数nを大きくすると分母が大きくなり、電流値は減少するので正解です。
- ロは、コイルに鉄心を入れるとインダクタンスLが大きくなります。3式の電流値より、インダクタンスLが大きくなると、分母が大きくなり、電流値は減少となるので正解です。
- ハは、電流値の式より、周波数fが高くなると分母のfが大きくなるので、電流値は減少する為、誤っています。
- ニは、電流値の式より、分子のVが大きくなるので、電流値も大きくなる為、正解です。
したがって、答えはハです
2017年度 問2

スイッチSを開放している場合は図1、スイッチSを閉じている場合は図2のようになります。

1 図1より、電流値を求め、抵抗Rを求める
2 図2に抵抗値Rを代入し、電流値を求めて抵抗R両端の電圧を求める
1-① 図1の電流値を求める
図1の状態で抵抗Rの両端には36Vが印加されていますので、2Ωに掛かる電圧は60V – 36V=24V なので、電流値I=$\frac{V}{R}$ =$\frac{24V}{2Ω}$ =12Aとなります。
1-② 図1の抵抗値Rを求める
電流値は12Aなので、抵抗値R =$\frac{V}{I}$ =$\frac{36V}{12A}$ =3Ωとなります。
≪2-1 図2の合成抵抗を求める≫
並列となっている6Ωと抵抗Rの3Ωの合成抵抗Rは、R=$\frac{6Ω×3Ω}{6Ω+3Ω}$ = 2Ωとなります。
したがって、回路全体の抵抗値R’は、R’=2Ω+2Ω=4Ω
≪2-2 図2の電流値を求める≫
電流値I= $\frac{V}{R’}$ = $\frac{60V}{4Ω}$ = 15Aとなります。
(※ちなみに抵抗Rに流れる電流IRは、IR=$\frac{6Ω}{6Ω+3Ω}$ ×I= $\frac{6Ω}{9Ω}$×15A=10Aです。)
≪2-3 図2の抵抗Rの両端にかかる電圧Vを求める≫
2-1より、並列回路(6Ωと3Ω)となっていたのを合成していますので、
2Ωに掛かる電圧は、V=IR=15A×2Ω= 30V
(※別解:合成抵抗をする前の抵抗Rで求めると、抵抗Rの両端にかかる電圧VR= 電流値IR×抵抗R=10A×3Ω= 30V)
したがって、答えはニです
≪他の回答≫
察しのいい人は気づいているかもしれないですが、2-1で回路全体の抵抗値を求める際に、2Ωと2Ωの直列回路となっているので、電圧は同じ値が均等にかかりますので、60V/2 =30Vってなることがわかります。したがって、2-2、2-3の手順を行わなくても答えが出せます。
2017年度 問3

1 インピーダンスZを求める
2 抵抗値Rを求める
3 リアクタンスXを求める
1.インピーダンスZを求める
インピーダンスZ=$\frac{V}{I}$ =$\frac{100V}{20A}$ = 5Ω
2.抵抗値を求める
R= $\frac{VR}{I}$=$\frac{80V}{20A}$ = 4Ω (VR:抵抗R両端にかかる電圧)
3.リアクタンスXを求める
インピーダンスZ= $\sqrt{R^2+X^2}$より、リアクタンスXは、X= $\sqrt{Z^2-R^2}$によって求められます。
リアクタンスX= $\sqrt{Z^2-R^2}$=$\sqrt{5^2-4^2}$=$\sqrt{9}$ = 3Ω
したがって、答えはロです。
2017年度 問4

1 各負荷の電流値IR、IL、ICを求める
2 電流値Iを求める
1.各負荷に流れている電流値をIR、IL、ICを求める
各負荷には電圧120Vが掛かっているので簡単に求められます
- 抵抗Rに流れる電流IR= $\frac{120V}{20Ω}$ =6A
- インダクタンスLに流れる電流IL =$\frac{120V}{10Ω}$ =12A
- コンデンサに流れる電流IC =$\frac{120V}{30Ω}$ =4A
2.電流値Iを求める
電流値I= $\sqrt{IR^2+(IL-IC)^2}$より、I=$\sqrt{6^2+(12-4)^2}$=$\sqrt{100}$=10A
したがって、答えはロです
2017年度 問5

1 三相電力【W】を求めるので、リアクタンスXは無視する
2 抵抗RはΔ回路となっているので、相電流を求める
3 三相電力【W】を求める
1 三相電力【W】を求めるので、リアクタンスXは無視する(下記図となる)

2 抵抗RはΔ回路となっているので、相電流を求める
Δ回路は、線間電圧Vℓ=相電圧Vp 、線電流Iℓ=√3相電流IPの関係性があります
相電流IP=$\frac{V}{R}$
3 三相電力【W】を求める
三相電力の求め方は主に下記の3パターンありますが、今回は3のP=3×相電流Ip2×抵抗を使用します。
- 三相電力P=√3×線間電圧Vℓ×線間電流Iℓ×力率cosΘ (W)
- 三相電力P=3×相電圧Vp×相電流Ip×力率cosΘ (W)
- 三相電力P=3×相電流Ip2×抵抗 (W)
三相電力= 3×相電流Ip2×抵抗=3×($\frac{V}{R}$)^2×R=3×($\frac{V^2}{R^2}$)×R=3×$\frac{V^2}{R}$
抵抗Rに5Ωを代入すると、三相電力=3×$\frac{V^2}{R}$=3×$\frac{V^2}{5}$
したがって、答えはイです。
2017年度 問6

1 コンデンサ接続前の無効電力Q1【kvar】を求める
2 コンデンサ接続後の皮相電力S2【kVA】を求める
3 コンデンサ接続後の無効電力Q2【kvar】を求め、
4 必要なコンデンサ容量Qc【kvar】を求める
※問題にtanθとありますが、苦手な方が多いと思うので使わずに計算します
問の図だとわかりにくいので下記の図を参考していただければと思います。

1 コンデンサ接続前の無効電力Q1【kvar】を求める
皮相電力S1は問より200KVA、消費電力Pは120kWと与えられているので、無効電力Q1は、
Q1=$\sqrt{S1^2-P^2}$=$\sqrt{200^2-120^2}$=$\sqrt{25600}$=160【kvar】
≪別解≫
1=$\sqrt{cos^2θ1+sin^2θ1}$より、sinθ1=$\sqrt{1-cos^2θ1}$= $\sqrt{1-0.6^2}$=$\sqrt{0.64}$=0.=0.8 となり、無効電力Q1は、Q1=皮相電力S1×sinθ1=200×0.8=160【kvar】
2 コンデンサ接続後の皮相電力S2【kVA】を求める
コンデンサ接続後の力率0.8、消費電力120kWより、皮相電力S2は、
皮相電力S2はP=Scosθより、S2=$\frac{P}{cosθ2}$=$\frac{120kW}{0.8}$=150【kVA】
3 コンデンサ接続後の無効電力Q2【kvar】を求める
コンデンサ接続後の無効電力Q2は、皮相電力S2は2より150KVA、消費電力Pは120kWなので、
Q2=$\sqrt{S2^2-P^2}$=$\sqrt{150^2-120^2}$=$\sqrt{8100}$=90【kvar】
≪別解≫
1=$\sqrt{cos^2θ2+sin^2θ2}$より、sinθ2=$\sqrt{1-cos^2θ2}$= $\sqrt{1-0.8^2}$=$\sqrt{0.36}$=0.6となり、無効電力Q2は、Q2=皮相電力S2×sinθ2=150×0.6=90【kvar】
4 必要なコンデンサ容量Qc【kvar】を求める
必要なコンデンサ容量Qcは、コンデンサ接続前の無効電力Q1とコンデンサ接続後の無効電力Q2より求める。
必要なコンデンサ容量Qc=Q1-Q2=160 -90 =70【kvar】
したがって、答えはロです
2017年度 問7

1 三相抵抗負荷より、電流値を求める
2 配電線路の電力損失を求める
1 三相抵抗負荷より、電流値を求める
三相電力は問より17.3kWとなっています。
三相電力は下記の3より求めることができるので、1式より電流値を求めましょう。
- 三相電力P=√3×線間電圧Vℓ×線間電流Iℓ×力率cosΘ (W)
- 三相電力P=3×相電圧Vp×相電流Ip×力率cosΘ (W)
- 三相電力P=3×相電流Ip2×抵抗 (W)
三相電力P=√3×線間電圧Vℓ×線間電流Iℓ×力率cosΘ (W)(抵抗負荷のみの為、力率cosθ=1)より、
17.3kW=√3×200V ×Iℓ×1となり、電流Iℓ=$\frac{P}{√3Vcosθ}$=$\frac{17.3kW}{√3×200V×1}$=50A
2 配電線路の電力損失を求める
三相3線式のの電力損失PLは、PL=3×電流I2×電線の抵抗r=3×50A2 ×0.1Ω=750W=0.75kW
したがって、答えはハです
2017年度 問8

1 B点の線間電圧を求める
2 C点の線間電圧を求める
1 B点の線間電圧を求める
A-B間には電流IAB20A(B点の10A分とC点の10A分)が流れています。
B点の電圧降下は、単相2線式(1Φ2W)の為、V=2×IAB×抵抗=2×20A×0.1=4Vとなり、
線間電圧VBはVB=210V – 4V =206Vとなります。
1 C点の線間電圧を求める
B-C間には電流IBC10Aが流れています。
C点の電圧降下は、単相2線式(1Φ2W)の為、V’=2×IBC×抵抗=2×10A×0.2=4Vとなり、
線間電圧VCは、VC =VB – V’ =206V – 4V =202Vとなります。
したがって、答えはロです。
2017年度 問9

1 1次側と2次側の負荷容量は等しい為、2次側の負荷容量を求める
2 1次側の電流値を求める
1 1次側と2次側の負荷容量は等しい為、まずは2次側の負荷容量P2を求める
2次側の負荷容量P2はP2=6.6kW+6.6kW=13.2kWとなり、
1次側の負荷容量P1はP2等しいので、P2=P1=13.2kWとなる
2 1次側の電流値I1を求める
電流値I1は、P1=V1×I1より、I1=$\frac{P1}{V1}$ となり、数値を代入すると、
電流値I1=$\frac{13.2kW}{6600V}$ =$\frac{13200W}{6600V}$=2A
したがって、答えはロです
2017年度 問10

これは覚えるしかないです。回転速度が速くなるとトルクは高くなるが、同期速度付近になるとトルクは急激に下がり0となります。
したがって、答えはハです
2017年度 問11

回転速度の公式は N=1$\frac{120f}{p}$×(1−s)【min-1】なので、値を代入し求める ≪f 周波数 p極数 s 滑り≫
回転速度の公式は N=$\frac{120f}{p}$×(1−s)【min-1】より、周波数f=60Hz 極数p=4 滑りs=0.05 を代入すると、
N=$\frac{120f}{p}$×(1−s)=$\frac{120×60Hz}{4}$×(1−0.05)=1710【min-1】
したがって、答えはロです。
以上、お疲れさまでした。
「出典:2017年度 筆記試験 第1種電気工事士 問1~11:一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp) 」