第2種電気工事士 2018年度(下期) 筆記試験の問1~10について、解説していきます
計算問題は毎年似たような問題が出てくるため、点数を取りやすいです。今回の問題も過去問と変わらない問題ばかりです。
それではどうぞ!!
2018年度(下期) 問1

1 下の並列回路2か所の合成抵抗を求め、抵抗値を合計する
2 a-b間の合成抵抗を求める
1. 下の並列回路2か所の合成抵抗を求め、抵抗値を合計する

図1の赤色丸の2Ωと2Ω、水色丸の3 Ωと6Ω の各並列回路の合成抵抗を求める
- 赤色丸: R1= $\frac{2Ω×2Ω }{2Ω+2Ω }$= $\frac{4}{4}$=1Ω
- 水色丸: R2= $\frac{3Ω×6Ω }{3Ω+6Ω }$= $\frac{18}{9}$=2Ω
- 並列回路2か所を合成すると、図2のように直列回路となるので、合計するとR1+R2=1Ω+2Ω=3Ωと図3のようになります。
2. a-b間の合成抵抗Rabを求める
1.より、図3のような並列回路となりますので、 3 Ωと6Ωの並列回路の合成抵抗Rabは、
Rab=$\frac{3Ω×6Ω }{3Ω+6Ω }$= $\frac{18}{9}$=2Ω
したがって、答えはロです
2018年度(下期) 問2

1 インピーダンスZを求める
2 回路全体に流れる電流Iを求める
3 抵抗12Ωに掛かる電圧を求める
1. インピーダンスZを求める
抵抗12Ωとリアクタンス16Ωの直列回路なので、インピーダンスZは、
Z=$\sqrt{R^2+X^2}$=$\sqrt{12^2 +16^2 }$=$\sqrt{400}$=20Ω
2. 回路全体に流れる電流Iを求める
電源電圧200V、インピーダンス20Ωより、電流Iは、
I=$\frac{V}{Z}$=$\frac{200V}{20Ω}$=10A
3. 抵抗12Ωに掛かる電圧Vrを求める
抵抗12Ωと回路に流れる電流Iによって、オームの法則より12Ωに掛かる電圧Vrは求められますので、
Vr=12Ω×10A=120V
したがって、答えはハです
2018年度(下期) 問3

電線の抵抗Rは下記の式によって、求める
R=$\frac{ρL}{A}$ (ρ:抵抗率 、L:長さ 、A:断面積 )
※断面積Aは、円の面積の為、半径×半径×πです。 A=$\frac{D}{2}$×$\frac{D}{2}$×π=$\frac{D^2}{4}$×π(D:直径)
R=$\frac{ρL}{A}$=$ \frac{ρL}{(\frac{D^2}{\ \ 4\ \ }×π)}$=$\frac{4ρL}{D^2 π}$
銅導線と銅導線を比較しているので、ρ:抵抗値は同じとなるのでρは仮で1とすると、
R=$\frac{4ρL}{D^2 π}$=$\frac{4×1×L}{D^2 π}$=$\frac{4L}{D^2 π}$となるので、この式に問の数値を代入してみましょう。
R=$\frac{4L}{D^2 π}$=$\frac{4×10m}{2.6㎜×2.6㎜×π}$=1.88Ω 抵抗値は1.88Ωです
したがって、問題中のイロハニの中から抵抗値1.88Ωに近い数値を求めろってことです。
- イを見てみると、R=$\frac{4L}{D^2 π}$= $\frac{4×20m}{1.6㎜×1.6㎜×π}$=9.95Ω (ρ:1,L:20m ,D:1.6mm)
- ロを見てみると、R=$\frac{ρL}{A}$=$\frac{1×10m}{8㎜^2}$=1.25Ω (ρ:1,L:10m ,A:8mm2)
- ハを見てみると、R=$\frac{4L}{D^2 π}$= $\frac{4×5m}{3.2㎜×3.2㎜×π}$ =0.62Ω (ρ:1,L:5m ,D:3.2mm)
- 二を見てみると、R=$\frac{ρL}{A}$=$\frac{1×10m}{5.5㎜^2}$=1.82Ω (ρ:1,L:10m ,A:5.5mm2)
抵抗値1.88Ωに近いのは、二の1.82Ωとなります 。
したがって、答えはニです。
2018年度(下期) 問4

熱量Qを求めてから電力量Wを求める
電力量Wと熱量Qはそれぞれ下記の計算式となります
電力量W:W=P×t (kW・h) 【P:消費電力 (kW)、t:時間(h)】
熱量Q:Q= c×m×T(kJ) 【c:比熱 (kJ/(kg・K) )、m:質量(kg)、T:温度変化(K)】
熱量Qと電力量Wの関係性 ≪3600kJ=1kW・h≫ ※ Q=3600×W W=Q / 3600によってそれぞれ求められる
水60㎏を20K上昇させる熱量は、水の比熱4.2kJ/(kg・K)により、
熱量Qは、Q= c×m×T= 4.2kJ/(kg・K)×60kg×20K =5040 kJ となります。
熱量Qと電力量Wの関係は ≪3600kJ=1kW・h≫ なので、
電力量W = $\frac{熱量Q}{3600}$ = $\frac{5040kJ}{3600}$ =1.4 kW・h
したがって、答えはハです
2018年度(下期) 問5

1 相電圧を求める
2 1相あたりのインピーダンスZを求める
3 相電流を求める
【ポイント】図は例題を使用
Y回路は、線間電圧Vℓ=√3×相電圧Vp 、線電流Iℓ=相電流Ip の関係があります
相電圧Vp:抵抗両端の電圧(黄色枠部分) 線間電圧Vℓ:線と線の間の電圧(赤枠部分)

1 相電圧を求める

相電圧は、水色丸の抵抗・リアクタンスに掛かる電圧のことです。線と線の間は線間電圧といいます。
Y回路の線間電圧と相電圧の関係は、線間電圧=√3×相電圧がありますので、相電圧の式に変形すると、
相電圧=$\frac{線間電圧V}{\sqrt{3}}$ =$\frac{200}{\sqrt{3}}$V となります。
※ここで、2.以降解きやすいように1相当りの等価回路は右図になるのでこの図を使って解説します
2. 1相あたりのインピーダンスZを求める
抵抗8Ωとリアクタンス6Ωの直列回路なので、インピーダンスZは、
Z=$\sqrt{R^2+X^2}$=$\sqrt{8^2 +6^2 }$=$\sqrt{100}$=10Ω となります。
3. 相電流を求める(1相あたりに流れる電流)
1、2より、相電圧 $\frac{200}{\sqrt{3}}$V 、インピーダンス10Ωとわかったので、電流Iは、
I= 相電圧V / インピーダンスZ = $\frac{200V}{\sqrt{3}×10Ω}$= $\frac{20}{\sqrt{3}}$A =11.6A となります。
Y回路は、線電流=相電流なので同じ電流値が流れています。
したがって、答えはロです。
2018年度(下期) 問6

1 配電線路8mの抵抗値を求める
2 電流を求める
3 配線における電圧降下を求める
1. 配電線路8mの抵抗値を求める

上記左図の赤丸内の配線8m分の抵抗値Rは、1000m当たり3.2Ωなので、
抵抗R= $\frac{8m}{1000m}$×3.2Ω= 0.0256Ω となります。 上下の2本分あるので注意。(右図は抵抗値を記入)
2. 電流を求める
抵抗負荷2000Wにかかる電圧100Vは問で与えられているので、電力P=電圧V×電流Iの関係より、電流Iの式に変換すると、
電流I= $\frac{P}{V}$= $\frac{2000W}{100V}$=20A となります。
3. 配線における電圧降下vを求める
上記左図の赤丸の配線部分のみの電圧降下vを求めるので、1,2で求めた抵抗R、電流Iより
v=抵抗R×電流I+抵抗R×電流I=0.0256Ω×20A + 0.0256Ω×20A =0.512V +0.512V =1.024V となります。
したがって、答えはイです
2018年度(下期) 問7

b点の電流10Aみると、aから10A流れて中性線には流れず下に10Aが流れていることがわかる
a-b間の電圧は1相あたりの抵抗0.1Ωのみの電圧降下分を求める
中性線には電流が流れていないため、b点以下の配線を無視すると下記図のような簡易的な回路となるります。

a-b間の電圧Vabは、Vab =電源電圧ー電圧降下分 によって求められるので、
Vab =電源電圧ー電圧降下分 =105 Vー0.1Ω×10A =104V となります。
したがって、答えはハです
2018年度(下期) 問8

絶縁電線の許容電流についは表の通りです
表より、直径2.0mmの許容電流は35Aなので、
電線1本あたりの許容電流は、 電線1本あたりの許容電流=35A×0.7=24.5A
したがって、答えはロです。
単線 | より線 | ||
直径(mm) | 許容電流(A) | 断面積(mm2) | 許容電流(A) |
1.6 | 27 | 2 | 27 |
2.0 | 35 | 3.5 | 37 |
2,6 | 48 | 5.5 | 49 |
3.2 | 62 | 8 | 61 |
許容電流とは、絶縁電線やケーブルに流すことのできる最大電流のことです。つまり、この電流以上に電流を流すと電線が発熱し、電線が溶けたり、燃えてしまいます。
2018年度(下期) 問9

分岐回路の過電流遮断器の取り付け箇所は、幹線の分岐点から3m以下の箇所に過電流遮断器を設置しないといけないですが、次の条件により3m以上の位置に取り付けできます
下記の公式は覚えましょう
- 3m以上~8m以下:IW≧IB×0.35 (Iw:電線の許容電流、IB:幹線の過電流遮断器の定格電流)
- 8m以上:IW≧IB×0.55

低圧屋内幹線から分岐して10mの位置とあるので、分岐点から8m以上なので電線の許容電流はIwは、
Iw≧IB×0.55=125A×0.55=68.75A ≒69A
したがって、答えはのハです
2018年度(下期) 問10

≪配線用遮断器の定格≫と≪コンセントの定格≫、≪電線の太さ≫の条件として、
下記表を参照
分岐回路 | コンセント | 電線の太さ |
15A | 15A以下 | 1.6㎜以上 |
20A 配線用遮断器 | 20A以下 | 1.6mm以上 |
20A ヒューズ | 20A | 2.0mm以上 |
30A | 20~30A |
2.6mm以上 断面積5.5mm2以上 |
40A | 30~40A | 断面積8.0mm2以上 |
50A | 40~50A | 断面積14.0mm2以上 |
- イは分岐回路20Aに対して、電線の太さ2.0mm、定格電流20Aコンセントなので、適切
- ロは分岐回路30Aに対して、電線の太さ2.0 mmなので、不適切
- ハは分岐回路20Aに対して、定格電流30Aコンセントなので不適切
- ニは分岐回路30Aに対して、定格電流15Aコンセントなので不適切
したがって、答えはイです
以上、お疲れさまでした。
「出典:2018年度下期 筆記試験 第2種電気工事士 :一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp)」
そのほかの問題については、下記リンクをご覧ください。
第二種電気工事士 2019年度(上期)筆記試験 計算問題 過去問解説