電気主任技術者を取得しようとしている方は、難易度が高いと言われているけど合格基準・合格率ってどんな感じ?電気主任技術者ってそもそも何する資格なの?第1種・第2種・第3種の違いって何?試験の受験資格は?等々疑問に思う方はいるんではないでしょうか。また、電気主任技術者は試験に合格しなくても実務経験を積むことで資格を取得できる認定制度をあわせて紹介します。
私が電気主任技術者の資格を合格したときの勉強方法や勉強期間、使用したテキストを紹介しますので参考にしていただければと思います。
※2022年度より第3種電気主任技術者試験は年2回(上期・下期)に変更となりました。
◆電気主任技術者って何?
◆電気主任技術者の資格取得方法:①試験に合格 ②認定校卒業及び実務経験を積む(試験免状)
◆試験概要・難易度:①受験資格 ②試験日程関連 ③試験出題範囲 ④合格基準(科目合格制度)⑤難易度(合格率)
◆電気主任技術者の認定制度:必要な実務経験期間
◆電気主任技術者の勉強方法
それではどうぞ!!
電気主任技術者って何?
電気主任技術者とは、発電所や変電所やビル等の事業用電気工作物を設置する際に、電気工作物の工事・維持を監督する電気主任技術者を選任しなくてはならないことを法令で義務づけられています。
受電電圧によって、電気主任技術者は下記表の1種・2種・3種に分けられます。3種→2種→1種の順に取り扱いできる電圧が高くなります。
第1種電気主任技術者 | 全ての事業電気工作物 |
第2種電気主任技術者 | 電圧170,000V未満の事業電気工作物 |
第3種電気主任技術者 | 電圧 50,000V未満の事業電気工作物 (出力5,000kW以上の発電所を除く) |
大体ですが、3種で取り扱いできる物件(工場やオフィスビル・商業施設等)は約90%ほどあるとも言われており、2種で取り扱いできる物件(発電所・鉄道変電所・大型商業施設等)は約99%、1種で全ての物件を取り扱うことができます。
なので最初は第3種電気主任技術者の資格を取得することを目指し、業務上必要であれば2種、1種の取得をしてみたら良いと思います。
電気主任技術者の資格取得方法
①試験に合格すること
②認定校を創業及び実務経験を積んで認定を受ける(試験は免状される)
①②ともに下で紹介しています。
電気主任技術者の試験概要
・電気主任技術者の資格は受験資格は無く誰でも受験可能です。
・試験日程関連(申込日・試験日・合格日・受験料)
・試験出題範囲(1次試験・2次試験)
・合格基準(1次試験・2次試験)科目合格制度・合格率について
試験日程関連(申込日・試験日・合格日・受験料)
第3種電気主任技術者は2022年度より、年1回から年2回に変更となりました。
第3種電気主任技術者 | 第2種電気主任技術者 | 第1種電気主任技術者 | |||
上期試験 | 下期試験 | ||||
申込日 | 5月中旬~6月上旬 | 11月中旬~12月上旬 | 5月中旬~6月上旬 | ||
受験料 | インターネット | 7,700円 | 13,800円 | ||
郵送 | 8,100円 | 14,200円 | |||
試験日 | 一次試験 | 8月下旬 | 3月下旬 | 8月下旬(第3種の試験日前日) | |
二次試験 | 無 | 無 | 11月中旬 | ||
合格発表 | 一次試験 | 10月下旬 | 5月下旬 | 10月下旬 | |
二次試験 | 無 | 無 | 2月中旬 |
試験出題範囲(1次試験・2次試験)
◆1次試験(第3種~第1種電気主任技術者):マークシートによる解答
第3種から第1種電気主任技術者の試験は、理論・電力・機械・法規の4科目ありそれぞれの出題範囲は表の通りとなります。出題範囲は3種から1種で同じですが、2種・1種になると微積分・ラプラス変換等、計算問題が複雑となっており、計算以外にも出題内容が深くなっています。
※第3種電気主任技術者は、一次試験のみとなります。
科目 | 出題範囲 |
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 |
電力 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 |
◆2次試験(第2種~第1種電気主任技術者):記述にる解答
第2種・第1種は2次試験まであり、1次試験を合格することにより試験を受けることができます。
科目 | 出題範囲 |
電力・管理 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理 |
機械・制御 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス |
※第3種電気主任技術者は、一次試験のみとなります。
合格基準(1次試験・2次試験)科目合格制度について
◆1次試験(第3種電気主任技術者は1次試験のみ)
第3種電気主任技術者は4科目合格することで資格を取得することができ、第2種、第1種電気主任技術者は2次試験へ進めることができます。合格基準は60%以上となっています。ただし、試験内容が難しく毎年のように合格基準が55%、50%へ下がっています。なので60%取れなかったからといって不合格になるとは限りません。また、一次試験は科目合格制度があり、1年で4科目合格しなくても3年間で4科目合格することで資格を取得することできます。
下記に第3種~第1種電気主任技術者の得点・合格基準、科目合格制度の例をまとめました。
第3種電気主任技術者 | 第2種電気主任技術者 | 第1種電気主任技術者 | |||||
理論 | A問題 | 14問×5点 | 100点 | 4問×15点 1問:小問各3点計15点 | 90点 | 4問×10点 1問:小問各2点計10点 | 80点 |
B問題 1問選択 | 3問×10点 | 3問×10点 1問:小問各2点計10点 | 2問×20点 | ||||
電力 | A問題 | 14問×5点 | 100点 | 4問×15点 1問:小問各3点計15点 | 90点 | 4問×10点 1問:小問各2点計10点 | 80点 |
B問題 | 3問×10点 | 3問×10点 1問:小問各2点計10点 | 2問×20点 | ||||
機械 | A問題 | 14問×5点 | 100点 | 4問×15点 1問:小問各3点計15点 | 90点 | 4問×10:点 1問:小問各2点計10点 | 80点 |
B問題 1問選択 | 3問×10点 | 3問×10点 1問:小問各2点計10点 | 2問×20点 | ||||
法規 | A問題 | 10問×6点 | 100点 | 4問×15点 1問:小問各3点計15点 | 90点 | 4問×10点 1問:小問各2点計10点 | 80点 |
B問題 | 2問×13点 1問×14点 | 3問×10点 1問:小問各2点計10点 | 2問×20点 | ||||
合格基準(1科目) | 60点以上(60%以上) | 54点以上(60%以上) | 48点以上(60%以上) |
≪科目合格制度≫
【第3種電気主任技術者】
下記表のように試験連続6回のうちに4科目合格すれば試験合格となります。最初に合格した試験以降、最大で5回まで科目の免除がされます。
もし、2024年度下期に機械が落ちた場合、2025年度上期には理論の試験免除は失効し、理論を受験することになります。
理論 | 電力 | 機械 | 法規 | |
2022年度上期 | 合格 | 不合格 | 不合格 | 不合格 |
2022年度下期 | 試験免除 | 合格 | 不合格 | 合格 |
2023年度上期 | 試験免除 | 試験免除 | 不合格 | 試験免除 |
2023年度下期 | 試験免除 | 試験免除 | 不合格 | 試験免除 |
2024年度上期 | 試験免除 | 試験免除 | 不合格 | 試験免除 |
2024年度下期 | 試験免除 | 試験免除 | 合格 | 試験免除 |
【第2種電気主任技術者、第1種電気主任技術者】
下記表のように3年間に4科目合格すれば試験合格となります。もし、2021年度に法規が落ちた場合、2022年度には理論・電力の試験免除は失効し、理論・電力・法規を受験することになります。
理論 | 電力 | 機械 | 法規 | |
2019年度 | 合格 | 合格 | 不合格 | 不合格 |
2020年度 | 試験免除 | 試験免除 | 合格 | 不合格 |
2021年度 | 試験免除 | 試験免除 | 試験免除 | 合格 |
◆2次試験
第2種、第1種電気主任技術者の各科目の合格基準は60%以上(108点以上)かつ2科目とも平均点以上となっています。ただし、試験内容が難しく毎年のように合格基準が55%、50%及び各科目平均点-5点へ下がったりしています。2次試験は1次試験のように科目合格制度はありませんが、一度不合格となっても翌年は一次試験が免除となります。もし翌年も不合格の場合は、一次試験からやり直しとなりますので何がなんでも取得しましょう。
各科目平均点以上なので、例えば電力・管理で120点、機械・制御が0点の場合は、不合格となってしまうので注意が必要です。どちらも50%くらいは取れるように学力を付けておくのが無難です。
下記に第2種、第1種電気主任技術者の得点・合格基準をまとめました。
第2種電気主任技術者 / 第1種電気主任技術者 | ||
電力・管理 | 6問中4問を選択 1問30点 | 120点 |
機械・制御 | 4問中2問を選択 1問30点 | 60点 |
合格基準 | 2科目合計180点中108点以上(60%以上) かつ、2科目ともに平均点以上 |
難易度(合格率)について
①第3種電気主任技術者
合格率は一桁で10%以下で一発で4科目合格することはかなり難易度が高くなっています。科目合格率は30%程度なので科目合格制度を利用して2年、3年で計画的に取得することも考えていかがでしょうか。

②第2種電気主任技術者
1次試験の合格率はで約30%以下、2次試験の合格率は10~20%となっています。一発で1次試験・2次試験を合格しようとすると、5~6%以下と第3種電気主任技術者と比較してもさらに難易度が高くなっています。科目合格率は50%ほどなので1次試験は科目合格制度を利用して2年、3年で計画的に取得し、2次試験は一発で合格するつもりで挑んだ方がいいです。

③第1種電気主任技術者
1次試験の合格率はで約30%以下、2次試験の合格率は15%ほどとなっています。一発で1次試験・2次試験を合格しようとすると、5%以下とかなり難関となっています。科目合格は40%以上なので1次試験は科目合格制度を利用して2年、3年で計画的に取得し、2次試験は一発で合格するつもりで挑んだ方がいいです。

認定制度について
認定制度は、試験を受けなくても認定学校・実務経験を積むことで資格を取得できる制度です。認定学校(電気科)及び実務経験は下記の表を参照してください。
ここで、認定学校については注意が必要で、必要な単位を取得していないと実務経験を積んでも認定制度を利用できません。もし、必要な単位を取得していない場合は、電気主任技術者試験で該当科目を受験し合格することで認定制度を利用することができます。例えば、理論の単位が不足していた場合は理論の試験を受験し合格することが必要となります。
単位について不足しているかは、卒業した学校に問い合わせてみましょう。基本的に工業高校・専門学校であれば不足していることは無いと思います。大学の場合は、自分で履修する授業を選ぶので単位が取りやすい授業のみだと必要単位が不足していることが多いです。
第3種電気主任技術者 | 第2種電気主任技術者 | 第1種電気主任技術者 | ||
実務経験 | ・電圧500ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用 |
・電圧10,000ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用 ・第3種電気主任技術者免状の交付を受けた後5年以上 |
・電圧10,000ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用 ・第2種電気主任技術者免状の交付を受けた後5年以上 |
|
学歴 | 大卒 | 実務経験1年 | 実務経験3年 | 実務経験5年 |
専門卒 | 実務経験2年 | 実務経験5年 | ー | |
高卒 | 実務経験3年 | ー | ー |
第3種電気主任技術者の勉強方法について
私が第3種電気主任技術者を取得したときに使用したテキスト、勉強期間・勉強方法を紹介します。
使用したテキスト
使用したテキストは、①過去問10年分②これだけシリーズ(4科目分)③問題集となります。
過去問10年分は電気書院をオススメします。テキストの見開き左ページに問題と右ページに解説が載っており、解説ページをめくる面倒な作業が省けるので時短にも繋がり、効率良く問題に取り組めます。
参考書はネットの評判も良くこれだけシリーズ(4科目分)を使用し、使った感想は図解も多くわかりやすかったです。ただ、参考書に関しては、みんなが欲しかった!シリーズ等色々あるので、実際に本屋に行って自分がパッと見一番わかりやすいのを選ぶのがいいです。ここで注意して欲しいのが、1冊で4科目分をまとめた参考書がありますが、これはオススメしません。理由は、電験はとにかく幅広い知識が必要となりますので、1科目で1冊と4科目で1冊では学べる量が全然違うため、全く役にたたないのでオススメできません。
問題集は電験の計算問題は毎回毎回ちょっと捻った問題が出題される為、色々な問題を解くことで応用力を身に着ける為使用しました。ここで重要なのは、過去問・参考書を使用している出版社と別の出版社の問題集を使用することです。例えば電気書院の参考書を使用していた場合、問題集をオーム社に変えることで、同じような問題でも違う計算方法で解説したりしているので、同じ問題でも別の見方から解くことができるので計算力がだいぶ上がります。
勉強期間・勉強方法 について
勉強期間は、約4か月(4月中旬開始)約500~600時間ほど取り組みました。
電気工事士と違って過去問をただ暗記するだけの学習では合格はかなり難しいです。暗記系は10年分の過去問をやれば同じような問題も出てきますが、計算問題は毎回毎回捻った問題が出てくるため、過去問だけの学習でかなり難しいです。
私の勉強方法は、参考書(これだけシリーズ)→問題集→過去問の順に取り組みました。
- 4月~5月:参考書・問題集(参考書・問題集1周後に過去問)
- 6月~試験:参考書・問題集・過去問
最初は他の資格と同じように過去問から取り組んだのですが、まぐれ当たりも含め約20点しか取れず、解説を読んでも意味不明の為、これは無理だなと諦めかけました、、、、
とわ言え、資格を取得したかったので、これだけシリーズ4科目分を用意し理論を中心として、残り3科目は暗記系をメインに取り組みました。計算問題は理論が基礎となっているので、理論ができないと3科目の計算もできません。理論を一通りやったら、3科目の計算問題に取り組みました。
参考書を一周したら、参考書もやりつつ問題集に取り組み、問題集も一周したら、参考書、問題集もやりつつ過去問に取り組みました。 とにかく、繰り返して問題を解くことが重要で、わからないところはチェックして繰り返す度にわからないところを減らすことです。