【計算苦手な方】第1種電気工事士 2020年度 筆記試験 問1~10,16 過去問解説

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第一種電気工事士 過去問
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第1種電気工事士 2020年度 筆記試験の問1~11、16について、解説していきます

計算問題は毎年似たような問題が出てくるため、点数を取りやすいです。今回の問題も過去問と変わらない問題ばかりです。

それではどうぞ!!

2020年度 問1

解き方

1  合成静電容量Cを求める

  ・直列の場合は$\frac{和}{積}$

  ・並列の場合は足し算

  ※抵抗回路の場合とは異なるので注意

2 電荷Q【C】(Q=C×V)を求める

3 電圧V1を求める

1  合成静電容量を求める

  ①並列の静電容量C2は足し算なので、C2=6 + 6 =12 μF

  ②静電容量C1= 6μFと①の静電容量C2= 12μFは直列なので、$\frac{積}{和}$となります。

   したがって、合成静電容量Cは、C= $\frac{C1×C2}{C1+C2}$=$\frac{6×12}{6+12}$=$\frac{72}{18}$=4 μF

2 電荷Q【C】(Q=C×V)を求める

 電荷Qを求める公式は、Q=C×Vで求めることができます。これに1で求めた静電容量と電源電圧を掛けると、

電荷Qは、Q=CV=4μF ×120V =480 C となります。

※参考:電荷について

  • 直列の場合:直列に接続されたコンデンサに貯まる電荷は全て等しい
  • 並列の場合:並列に接続されたコンデンサは、各コンデンサに貯められた電荷の総和

3 電圧V1を求める

電圧V1は、電荷Qと静電容量C1で求めることができます。※直列接続なので電荷Qは360C

Q=C1×V1より、電圧V1は、V1=$\frac{Q}{C1}$=$\frac{480C}{6μF}$=80V

したがって、答えはニです

2020年度 問2

解き方

1 回路全体の合成抵抗Rを求める

2 回路全体に流れる電流Iを求める

3 並列された抵抗に流れる電流を求める

4 a-b間の電圧を求める

問題を解くのに上記図として問題を解いていきます。

1 回路全体の合成抵抗Rを求める

 (1) 図1の黄色枠内の並列部分の合成抵抗を求める

  1.  並列部分の上部は、2Ωと8Ωの直列回路なので、2Ω+8Ω=10Ω
  2.  並列部分の下部は、5Ωと5Ωの直列回路なので、5Ω+5Ω=10Ω
  3.  10Ωと10Ωの並列回路の合成抵抗は、$\frac{10Ω×10Ω}{10Ω×10Ω}$=$\frac{100Ω}{20Ω}$=5Ω

 (2) 回路全体の合成抵抗Rを求める

  (1)により、図2のように5Ωと5Ωの直列回路となります。

  したがって、回路全体の合成抵抗Rは、R=5Ω + 5Ω =10Ω 

2 回路全体に流れる電流Iを求める

 電源電圧Vと合成抵抗Rによって、電流Iは、I=$\frac{V}{R}$によって求めることができます。

 I=$\frac{V}{R}$=$\frac{20V}{10Ω}$=2A

3 並列された抵抗に流れる電流を求める

 図1の黄色枠内の電流I1と電流I2を求める ≪パターン1≫≪パターン2≫どちらでも求められるので自分が解きやすい方法で解いてください。

個人的にはパターン2で解くのをおすすめします。理由は抵抗が2列のみですが、3列になると分流で求める場合は式が面倒になるからです。

≪パターン1 分流によって求める≫

  •  I1=$\frac{5Ω+5Ω}{2Ω+8Ω+5Ω+5Ω}×I $=$\frac{10Ω}{20Ω}×2A $=1A
  •  I2=$\frac{2Ω+8Ω}{2Ω+8Ω+5Ω+5Ω}×I $=$\frac{10Ω}{20Ω}×2A $=1A

参考:分流の求め方

  • I1を求めるには、I1= $\frac{R2}{R1+R2}×I $
  • I2を求めるには、I2= $\frac{R1}{R1+R2}×I $
  • 求めたい電流の反対側の抵抗値を分子に持ってくる

≪パターン2 分圧によって求める≫

並列部分にかかる電圧は、並列回路の合成抵抗5Ωと電流5Aにより、5Ω×2A=10Vより求められる

  • I1を求めるには、I1= $\frac{10V}{2Ω+8Ω} $=1A
  • I2を求めるには、I2= $\frac{10V}{5Ω+5Ω} $=1A

4 a-b間の電圧Vabを求める

 並列回路の上部の左側の2Ω(又は右側の8Ω)と下の左側の5Ω(又は右側の5Ω)の電位差によって、a-b間の電圧Vabを求めることができます。

Vab=$2Ω×I1 – 5Ω×I2 $=$2Ω×1A – 5Ω×1A=2V – 5V = – 3V (マイナスが付くと極性が反対という意味)

したがって、答えは3Vのロです

2020年度 問3

解き方

1 リアクタンスXLを求める(XL=2π f L =ωL )

2 インピーダンスZを求める(Z=$\sqrt{R^2+X^2}$)

3 電流値Iを求める (I=$\frac{V}{Z}$)

1 リアクタンスXLを求める

リアクタンスXLは、XL=2π f L =ωL によって求められます。

XL=2π f L =ωL=500rad/s × 8mH =500rad/s × 8 ×10-3H=4000 ×10-3= 4Ω

2 インピーダンスZを求める(Z=$\sqrt{R^2+X^2}$)

インピーダンスZは、Z=$\sqrt{R^2+X^2}$によって求められます。

Z=$\sqrt{R^2+X^2}$=$\sqrt{3^2 Ω+4^2 Ω}$=$\sqrt{25}$=5 Ω

3 電流値Iを求める (I=$\frac{V}{Z}$)

電流値Iは、I=$\frac{V}{Z}$によって求められます。

I=$\frac{V}{Z}$ =$\frac{100V}{5Ω}$=20A

したがって、答えはハです。

2020年度 問4

解き方

1 抵抗12Ωに流れる電流IRを求める(V / R)

2 リアクタンス16Ωに流れる電流ILを求める(V / X)

3 電流Iを求める($\sqrt{IR^2+IL^2}$)

4 皮相電力S を求める(V× I)

1 抵抗12Ωに流れる電流IRを求める(V / R)

 抵抗に流れる電流IRは、IR=$\frac{V}{R}$によって求められます。

IR=$\frac{V}{R}$=$\frac{96V}{12Ω}$=8A

2 リアクタンス16Ωに流れる電流ILを求める(V / X)

 抵抗に流れる電流ILは、IL=$\frac{V}{R}$によって求められます。

IL=$\frac{V}{R}$=$\frac{96V}{16Ω}$=6A

3 電流Iを求める($\sqrt{IR^2+IL^2}$ )

 回路全体に流れる電流Iは、I=$\sqrt{IR^2+IL^2}$によって求められます。

I=$\sqrt{IR^2+IL^2}$=$\sqrt{8A^2+6A^2}$=10A

4 皮相電力Sを求める(V×I)

 皮相電力Sは、S=V×Iによって求められます。

S=V×I=96V×10A=960 VA

したがって、答えはハです

2020年度 問5

解き方

1 消費電力を求めるので、リアクタンスは無視する

2  Y回路の線電流を求める

  1. 相電圧を求める
  2. 相電流を求める
  3. 線電流を求める

3  消費電力Pを求める

1 消費電力を求めるので、リアクタンスは無視する

 消費電力を求める問題なので、リアクタンスは無視する。そうなると、図は下記のようになる

2  Y回路の線電流を求める

 Y回路は線間電圧V=√3×相電圧V 、線電流I=相電流Iの関係があるのでこれを基に下記を求める

  1. 相電圧を求める:相電圧=$\frac{線間電圧V}{\sqrt{3}}$ =$\frac{200}{\sqrt{3}}$V
  2. 相電流を求める:相電流=$\frac{相電圧}{抵抗R}$=$\frac{200V}{\sqrt{3}×20Ω}$= $\frac{10}{\sqrt{3}}$ A
  3. 線電流を求める:線電流=相電流なので、$\frac{10}{\sqrt{3}}$ A

3  消費電力Pを求める

 消費電力PはP=$3×I^2×R$で求めることができます。

 P=$3×I^2×R$=$3×(\frac{10}{\sqrt{3}})^2 ×20$ =$10^2×20$=2,000W=2kW

したがって、答えはハです。

2020年度 問6

解き方

単相3線式の電圧降下vの公式は、v=I×(rcosθ+xsinθ)※中性線に電流が流れていない場合

1    中性線に電流は流れていない

2 公式を使用して電圧降下を求める  (リアクタンスは無いので無視する)

3 電源電圧Vを求める

1    中性線に電流は流れていない

 上下の線に10Aずつ流れているので中性線には電流が流れていないことがわかります。中性線を消すと下記の図のようになります。電圧降下は黄丸及び赤丸内のことを指します。

 

2 公式を使用して電圧降下を求めるリアクタンスは無いので無視する

 問では、電圧降下に関してリアクタンスは無いので無視できます。電圧降下vの公式は、

v=I×(rcosθ+xsinθ)=I×(rcosθ)となりますので、数値(電流I=10A、抵抗r=0.5Ω、力率cos=0.8)を代入すると、

電圧降下vは、v=I×(rcosθ)=10A × (0.5Ω×0.8)=4V

3 電源電圧Vを求める

負荷に掛かっている電圧は100Vなので、これに電圧降下vを足せば電源電圧Vを求めることができます

電源電圧V= 100V +電圧降下v =100V + 4V =104V

したがって、答えはロです

2020年度 問7

この問題は難易度が高いです。電験三種で勉強する内容なので飛ばしても問題ないです。興味のある方だけ解いてみてください。

解き方

三相3式の線路損失PLの公式は、PL=3I2 r 

1 コンデンサ接続前の電流(有効電流と無効電流)について

2  コンデンサ接続後の電流について

3  コンデンサ接続後の線路損失

1 コンデンサ接続前の電流(有効電流と無効電流)について

 コンデンサ接続前は上記の図となります

 電流Iは、有効電流Icosθ(抵抗に流れる電流)と無効電流Isinθ(リアクタンスに流れる電流)に分けると、下記のように表せます

  • 有効電流Icosθは力率(cos)0.8よりIcosθ=0.8I
  • 無効電流Isinθはsin0.6よりIsinθ=0.6I ※1=$\sqrt{cos^2θ+sin^2θ}$ より、sinθ=$\sqrt{1-cos^2θ}$= $\sqrt{1-0.8^2}$=0.6 

コンデンサ接続前の線路損失PLは問より、PL=3I2 r=2.5kW です 

2  コンデンサ接続後の電流について

コンデンサ接続後は、力率が1になります。

これはコンデンサ接続前の電流I1の無効電流0.6Iを打ち消すということです。つまり、コンデンサに流れる電流Icは、無効電流-0.6I となります。

電流Iは、電流I1と電流Icを加えたもので、${I=I1+Ic=(有効分0.8I+無効分0.6I)+無効分(- 0.6I)=0.8I}$ となり、電流Iは有効電流0.8Iのみとなります

3  コンデンサ接続後の線路損失を求める

電流I=0.8Iなので、コンデンサ接続後の線路損失PL’は、PL’=3×0.8I2 × r=0.64×3× I2 ×r となります。

ここで、コンデンサ接続前の線路損失PL、PL=3I2 r=2.5kW なので、PL’に3I2 r=2.5kWを代入すると、

PL’は、PL’=0.64×3× I2 ×r=0.64×2.5kW=1.6kW

 したがって、答えはロです

2020年度 問8

解き方

1 変圧器一次側の電流I1を求める

2 変流器二次側の電流Iを求める

問図を上記図のように、変圧器、変流器の記載、変圧器の一次電流をI1と二次電流をI2としています

1 変圧器一次側の電流I1を求める

 変圧器は一次側と二次側は同じ電力値となります。したがって、二次側の電力P2を求めると、

 P2=210V× I2 =210V×300A =63000Wとなります。

 一次側電力P1と二次側電力P2は同じなので、P2=P1=6300V× I1=63000Wとなりますので、

 電流I1の形に変換すると、一次電流I1=$\frac{P1}{6300V}$=$\frac{63000W}{6300V}$=10Aと求めることができます。

2 変流器二次側の電流Iを求める

 変流器に20A / 5A と記載がありますが、これは電流比といいます。変流器は二次側に流れる電流を小さい値に変換する機能があり、どれくらい小さい値に変換するかは電流比によって異なります

問は$\frac{20A}{5A}$なので、電流比=$\frac{20A}{5A}$=4となります。これは二次側電流を$\frac{1}{4}$倍にするという意味です

変流器一次側には、電流I1(=10A)が流れていますので、電流比=4=$\frac{変流器一次側電流I1}{変流器二次電流I}$ を変流器二次電流Iの形に変換すると、

変流器二次電流I=$\frac{変流器一次側電流I1}{電流比}$=$\frac{10A}{4}$=2.5Aとなります

したがって、答えはイです。

2020年度 問9

解き方

需要率とは、最大需要電力と設備容量の比のこと。

$$需要率=\frac{最大需要電力}{設備容量}$$

負荷率とは、平均需用電力と最大需要電力の比のこと。

$$負荷率=\frac{平均需用電力}{最大需要電力}$$

1 需要率より、最大需要電力を求める

2 需要率より、平均需用電力を求める

1 需要率より、最大需要電力を求める

 $需要率=\frac{最大需要電力}{設備容量}$より、最大需要電力=需要率× 設備容量

 最大需要電力=需要率× 設備容量=0.4 × 500kW=200kW

2 需要率より、平均需用電力を求める

 $負荷率=\frac{平均需用電力}{最大需要電力}$より、平均需用電力=負荷率× 最大需要電力

平均需用電力=負荷率× 最大需要電力=0.5 × 200kW=100kW

したがって、答えはイです

2020年度 問10

解き方

電流値Iを求める

 ※定格出力Pは、P=$\sqrt{3}VIcosθ n$より、電流の式に変換し求める

電流値Iを求める

 定格出力Pは、P=$\sqrt{3}VIcosθ n$より、電流Iは、I=$\frac{P}{\sqrt{3}Vcosθn}$より求める

 ※定格出力P:11kW、定格電圧V:200V、力率cosθ:0.8、効率n:0.9

I=$\frac{P}{\sqrt{3}Vcosθn}$=$\frac{11000W}{\sqrt{3}×200V×0.8×0.9}$=44.2A 

したがって、答えはハです。

2020年度 問16

解き方

揚水発電所の電動機入力【kW】の公式は、P=$\frac{9.8QH}{nm×np}$

≪Q:使用水量 H:全揚程 nm: 電動機の効率 np: ポンプの効率≫

揚水発電所の電動機入力【kW】の公式は、P=$\frac{9.8QH}{nm×np}$  なので、Q:150 m3 / s H:200m nm: 0.9  np:0.85を代入すると、

P=$\frac{9.8QH}{nm×np}$ =P=$\frac{9.8×150×200}{0.9×0.8}$ =384,313kW=384MW

したがって、答えはニです。

参考:水車発電機の場合の発電機出力について

似たような問題があるので、参考に解説します。

水力発電所の発電機出力【kW】の公式は、P= 9.8QHn ≪Q:使用水量 H:有効落差 n: 水車と発電機の総合効率≫となっており、この場合は、効率は掛け算となっています。

効率は、効率=$\frac{出力}{入力}$なので、出力=入力×効率となるので掛け算に、

入力の場合は、入力=$\frac{出力}{効率}$となります。似ているので注意しましょう。

以上、お疲れさまでした。

「出典:2020年度 筆記試験 第1種電気工事士 問1~10、16 :一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp) 」

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