第1種電気工事士 2018年度追加 筆記試験の問1~11について、解説していきます
計算問題は毎年似たような問題が出てくるため、点数を取りやすいです。今回の問題も過去問と変わらない問題ばかりです。
それではどうぞ!!
2018年度追加 問1

1 フレミングの右手の法則:発電機の原理(起電力e=vBL 導体の移動v、磁界B、長さL )
2 クーロンの法則:帯電した物体同士が近づくと、同じ極性の反発し、違う極性は引き合う F=Q1Q2/(4πεr2)
3 フレミングの左手の法則:電動機の原理(電磁力F=IBL 電流I、磁界B、長さL )
4 キルヒホッフの法則:回路の分岐点において、流入する電流の和と流出する電流の和は等しい

問は導体に電磁力F=LIBが発生するが、電磁力の方向を知るために用いられる法則を聞かれています。上記の法則をみてみると、フレミングの左手の法則だということがわかります。
したがって、答えはハです
2018年度追加 問2

1 直列・並列負荷に掛かる電圧を求める
2 電流値を求める
3 抵抗R1を求める
1 直列・並列負荷に掛かる電圧を求める

≪回路の電圧について電源電圧は104V≫
直列の8Ωにかかる電圧は64Vということは、
並列回路(R1とR2)にかかる電圧は残りの40V(=104V-64V)となります。
2 電流値を求める
直列の8Ωにかかる電圧は64Vということは、電流値I=$\frac{V}{R}$=$\frac{64V}{8Ω}$=8A
3 抵抗R1を求める
抵抗R1、R2 の並列部分には40V。R2に流れる電流は6Aの為、R1に流れる電流は、8A-6A=2Aとなります。
抵抗R1にかかる電圧と電流値がわかったので、抵抗R1=$\frac{40V}{2A}$ = 20Ω
したがって、答えはニです
2018年度追加 問3

1 インピーダンスZを求める
2 抵抗値Rを求める
3 リアクタンスXを求める
1.インピーダンスZを求める
インピーダンスZ=$\frac{V}{I}$ =$\frac{100V}{20A}$ = 5Ω
2.抵抗値を求める
R= $\frac{VR}{I}$ =$\frac{80V}{20A}$= 4Ω
3.リアクタンスXを求める
インピーダンス$\sqrt{R^2+X^2}$より、リアクタンスXは、X= $\sqrt{Z^2-R^2}$によって求められます。
リアクタンスX= $\sqrt{Z^2-R^2}$=$\sqrt{5^2-4^2}$=$\sqrt{9}$ = 3Ω
したがって、答えはロです。
2018年度追加 問4

1 各負荷の電流値IR、IL、ICを求める
2 電流値Iを求める
1.各負荷に流れている電流値をIR、IL、ICを求める
各負荷には電圧100Vが掛かっているので簡単に求められます
- 抵抗Rに流れる電流IR= $\frac{100V}{5Ω}$ =20A
- インダクタンスLに流れる電流IL =$\frac{100V}{10Ω}$ =10A
- コンデンサに流れる電流IC =$\frac{120V}{10Ω}$ =10A
2.電流値Iを求める
電流値I=$\sqrt{(IR^2+(IL-IC)^2)}$ より、I=$\sqrt{(20^2+(10-10)^2)}$=$\sqrt{400}$=20A
したがって、答えはハです
2018年度追加 問5

1 リアクタンスのΔ回路をY回路へ変換する
2 インピーダンスZを求める
3 線電流を求める

1 リアクタンスのΔ回路をY回路へ変換する
Δ回路をY回路へ変換するには図1、2のように≪負荷の積 / 和≫で求めることができます。
例えば、Δ回路のR1とR2によって、Y回路のR12を求められる R12= $\frac{R1×R2}{R1+R2+R3}$
同様にR23=$\frac{R2×R3}{R1+R2+R3}$ 、R31= $\frac{R3×R1}{R1+R2+R3}$のように求められる。
ただ、複数の文字を使っての数式だとわかりにくい部分があるので、Rのみで表すと、 R12=$\frac{R1×R2}{R1+R2+R3}$=$\frac{R^2}{3R}$ = $\frac{R}{3}$ と、Δ回路 →Y回路へ変換すると1/ 3倍となります。
これをもとにリアクタンスをΔ回路からY回路へ変換すると、$\frac{9Ω}{3}$= 3Ωとなります。
下記の図はリアクタンスをΔ回路からY回路へ変換した図です。

2 インピーダンスZを求める
1相あたりのインピーダンスZ= $\sqrt{R^2+X^2}$より、Z= $\sqrt{R^2+X^2}$=$\sqrt{4^2+3^2}$ =$\sqrt{25}$ =5 Ω
3 線電流を求める
Y回路は線間電圧V=√3×相電圧V 、線電流I=相電流Iの関係があるのでこれを基に下記を求める
- 相電圧を求める:相電圧=$\frac{線間電圧V}{√3}$
- 相電流を求める:相電流=$\frac{相電圧}{インピーダンスZ}$ =$\frac{V}{√3×Z}$
- 線電流を求める:線電流=相電流なので、$\frac{V}{√3×Z}$=$\frac{V}{√3×5}$
したがって、答えはロです。
2018年度追加 問6

配電線路の電圧降下分を求め、電源電圧Vsを求める
配電線路の電圧降下vは、v=『I(Rcosθ+Xsinθ)+ I(Rcosθ+Xsinθ)』によって求められます。
電流I:10A 、 R:0.4Ω 、 X:0.3Ω 、 力率0.8よりcosθ:0.8 、 sinθは、1=$\sqrt{cos^2θ1+sin^2θ1}$より、sinθ1=$\sqrt{1-cos^2θ1}$= $\sqrt{1-0.8^2}$=$\sqrt{0.36}$=0.6 です。
電圧降下v=I(Rcosθ+Xsinθ)+ I(Rcosθ+Xsinθ)=2I(Rcosθ+Xsinθ)に上記値を代入すると、
v= 2 I(Rcosθ+Xsinθ)=2×10A( 0.4Ω×0.8+0.3Ω×0.6)=20×(0.5)=10V
電源電圧Vsを求める
電源電圧Vs =電圧降下v + 負荷にかかる電圧=10V + 200V = 210V
したがって、答えはロです
2018年度追加 問7

1 電流値を求める
2 三相3線式の電力損失PLは、PL=3I2r
1 電流値を求める
三相負荷Pの公式は、P=√3VIcosθより、電流Iの形に変換すると、I= $\frac{P}{√3Vcosθ}$となります。
ここで、問の数値を代入したくなりますが、ちょっと待ってください。計算が複雑になってしまうので、次の電力損失まで数値を代入しないようにしましょう。
2 三相3線式の電力損失PL=3I2rを求める
三相3線式の電力損失PLの公式は、PL=3I2rです。
上記1より、電流IはI=$\frac{P}{√3Vcosθ}$です。これをPL=3I2rに代入すると、
PL=3I2r=3×($\frac{P}{√3Vcosθ}$)2 ×r = 3 × $\frac{P^2}{3V^2cos^2θ}$×r = $\frac{P^2r}{V^2cos^2θ} $となり、ルート√の計算をしなくてもよくなり、計算も簡単にできるようになります。この式に数値を代入すると、
PL=$\frac{P^2r}{V^2cos^2θ} $=$\frac{8000W^2×0.1Ω}{200V^2×0.8^2} $ = 250【A】 (P=8,000W、r=0.1Ω、V=200V、cosθ=0.8)
したがって、答えはハです
2018年度追加 問8

1 二次側の抵抗値R1、R2を求める
2 二次側の電力を求める
3 一次側の電流を求める

一次側と二次側とは、図のようになります。一次側は電圧6000Vで高圧である為、二次側を変圧器によってコンセントで使用できる電圧(100 / 200V )に変圧します。
一次側の電力と、二次側の電力は同じとなりますので、まずは、情報がある二次側の電力を求めます。
1 二次側の抵抗値R1、R2を求める
抵抗R1は、R1=$\frac{V}{I}$ より、R1 = $\frac{V}{I}$= $\frac{100V}{40A}$ = 2.5Ω
抵抗R2は、R2=$\frac{V}{I}$より、R2 = $\frac{V}{I}$= $\frac{100V}{20A}$= 5Ω
2 二次側の電力を求める
抵抗R1での消費電力P21は、P21 = I2 ×R1 = 402×2.5Ω = 4000W
抵抗R2での消費電力P22は、P22= I2 ×R2 = 202×5Ω = 2000W
二次側の合計電力は、P2=P21 + P22 =4000W + 2000W = 6000W
3 一次側の電流を求める
二次側の電力P2と一次側の電力P1は等しいので、P1=P2=6000W です。
電流I1は、I1= $\frac{P1}{V}$ =$\frac{6000W}{6000V}$=1A
したがって、答えはイです。
≪別解:二次側の電力の求め方≫
二次側の抵抗値を求めなくても、P21 、 P22は、電流×電圧で求めらるので、
P21=100V × 40A = 4000W 、 P22=100V × 20A = 2000W となり、
P2=P21 + P22 =4000W + 2000W = 6000W となります。
計算に慣れてもらうために抵抗を求めて解説しました。面倒だと思う方はいきなり二次側の電力から求めてください
2018年度追加 問9

力率改善に必要なコンデンサの定格容量Qcを求める
公式:Qc=P(tanθ1 – tanθ2)
力率改善に必要なコンデンサの定格容量Qcを求める
力率を0.8 → 0.93 に改善する為に必要なコンデンサの定格容量Qcを求める公式は、
Qc=P(tanθ1 – tanθ2) ※(tanθ =$\frac{sinθ}{cosθ}$ )です。
この式に 各数値(P=80kW、cosθ1=0.8、sinθ1=0.6、tanθ2=0.38)を代入すると、
※sinθ1は、1=$\sqrt{cos^2θ1+sin^2θ1}$より、sinθ1=$\sqrt{1-cos^2θ1}$= $\sqrt{1-0.8^2}$=$\sqrt{0.36}$=0.6
Qc=P(tanθ1 – tanθ2) =P($\frac{sinθ1}{cosθ1}$ – tanθ2) =80($\frac{0.6}{0.8}$ – 0.38) =29.6【kvar】
したがって、答えはロです
≪参考:無効電力Q1、無効電力Q2を求めてみます≫
1 コンデンサ接続前の無効電力Q1【kvar】を求める
皮相電力S1は問より100KVA、消費電力Pは80kWと与えられているので、 無効電力Q1は、Q1=$\sqrt{S1^2-P^2}$=$\sqrt{100^2-80^2}$=60【kvar】
2 コンデンサ接続後の無効電力Q2【kvar】を求める
皮相電力S2はP=Scosθより、コンデンサ接続後の力率0.93、消費電力80kWを代入すると、
S2=$\frac{P}{cosθ2}$=$\frac{80kW}{0.93}$=86【kVA】
無効電力Q2は、Q2=$\sqrt{S2^2-P^2}$=$\sqrt{86^2-80^2}$ =31.6【kvar】
2018年度追加 問10

三相交流ではR相、S相、T相はそれぞれ120°位相がズレています。 (例:R相120°、S相240°、T相360°)
①の結線は、R相=U、S相=V、T相=Wに結線されています
≪結線を2つ入れ替えると、逆方向に回転≫
・R相=U、S相=W、T相=V (S相、T相を入れ替え)
・R相=W、S相=V、T相=U (R相、T相を入れ替え)
・R相=V、S相=U、T相=W (R相、S相を入れ替え)
≪全ての結線を120°づつ入れ替えると、同じ方向に回転≫
・R相=V、S相=W、T相=U
・R相=W、S相=U、T相=V
問をみると、②はR相=V、S相=Uが入れ替わっているので、逆方向に回転します
③は結線がR相=V、S相=W、T相=Uと120°づつ入れ替えているので同じ方向に回転します。
したがって、答えはハです。
2018年度 問11

これは公式なので覚えるしかないです。

電動機の出力は、E=$\frac{I}{r^2}$ 【lx】 (I:光度【cd】, r:床面上の高さ【m】)
したがって、答えはイです
以上、お疲れさまでした。
「出典:2018年度追加 筆記試験 第1種電気工事士 問1~11:一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp) 」