第1種電気工事士 2016年度 筆記試験の問1~9,11,12,16について、解説していきます
それではどうぞ!!
2016年度 問1

静電エネルギーWは、W=$\frac{1}{2}CV^2$ です。ここでコンデンサCに、C=ε$\frac{A}{d}$ を代入すると、
$$W=\frac{1}{2}CV^2=\frac{1}{2}\frac{εA}{d}V^2$$
この公式をもとに問のコンデンサーの静電エネルギーに関する記述を見てみると、
- イは、電圧の2乗に比例する、電圧の2乗に比例するので正解です。
- ロは、電極の断面積Aに反比例する、断面積Aに比例するので不正解です。
- ハは、電極間の距離dに比例する、距離dに反比例するので不正解です
- ニは、誘電率εに反比例する、誘電率εに比例するので不正解です。
したがって、答えはイです
2016年度 問2

1 ホイートストンブリッジ回路が平衡状態かを求める
2 合成抵抗Rを求める
3 回路全体に流れる電流I’を求める
4 抵抗2Ωに流れる電流Iを求める
1. ホイートストンブリッジ回路が平衡状態かを求める

ホイートストンブリッジ回路の平行条件は、青矢印の抵抗の積と緑矢印の抵抗の積が等しいと平衡状態となり、中央の抵抗に電流は流れません。
この回路が平行条件 か確認すると、2Ω×8Ω=4Ω×4Ω と等しいので平衡状態です。
2. 合成抵抗Rを求める

回路は平行状態なので図2の回路となりますが、抵抗を整理すると図3のような簡易的な回路となります。
並列回路の合成抵抗R’は、抵抗値R’ =$\frac{6Ω×12Ω}{ 6Ω+12Ω} $ =$\frac{72}{18}$ =4Ω となります。
回路は図4のようになるので、合成抵抗Rは、R =4Ω+6Ω=10Ω となります。
3. 回路全体に流れる電流I’を求める
電流I’= $\frac{V}{R’}$ = $\frac{18V}{10Ω}$ = 1.8Aとなります。
4. 抵抗2Ωに流れる電流Iを求める
抵抗2Ωに流れる電流Iを求める前に、図4の合成抵抗R’の4Ωに掛かる電圧を求めましょう。
4Ωに掛かる電圧Vは、V=4Ω×I’=4Ω×1.8A=7.2V となります。
これは、図2の2Ωと4Ω(4Ωと8Ω)、図3の6Ω(12Ω)に掛かる電圧も7.2Vです。
2Ωに流れる電流Iは、I=$\frac{7.2V}{6Ω}$ = 1.2A
したがって、答えはロです
2016年度 問3

1 インピーダンスZを求める
2 力率cosθを求める
1.インピーダンスZを求める

リアクタンスXは、X=XLーXc=10Ωー10Ω=0となるので、抵抗のみ回路となります。
インピーダンスZは、Z=R=10Ωです。
2.力率cosθを求める
力率cosθ = $\frac{R}{Z}$=$\frac{10Ω}{10Ω}$ = 1
したがって、答えはニです。
2016年度 問4

1 電流値Iを求める
2 消費電力を求める(※ダイオード分を考慮する)
1.電流値をIを求める
電流Iは、 I = $\frac{V}{R}$=$\frac{100V}{10Ω}$ = 10A
2.消費電力を求める
ダイオードを考えずに抵抗で消費する、消費電力Pは、P=I2 ×R =10A2×10Ω =1000Wとなります。
ダイオードを使用している場合ですが、ダイオードは一方方向にしか電流を流しません。下記の図は電流を表した波形ですが、ダイオードはプラス部分(水色枠)のみでしか電流を流さないので、消費電力Pは半分となります。
つまり、 消費電力P= $\frac{1000W}{2}$=500W となります。

したがって、答えはハです
2016年度 問5

1 相電圧を求める
2 1相当りのインピーダンスZを求める
3 電流Iを求める
4 電圧VRを求める
1 . 相電圧を求める
回路はY回路となっており、線間電圧は200Vなので、相電圧Vは V=$\frac{200V}{√3}$となります。
1相あたりの回路は図のようになります。

2 . 1相あたりの インピーダンスZを求める
抵抗8Ωとリアクタンス6Ωの直列回路となっているので、インピーダンスZは、
Z= $\sqrt{R^2+X^2}$=$\sqrt{8^2+6^2}$=$\sqrt{100}$=10Ω
3 . 電流Iを求める
1、2相電圧V、インピーダンスZより、電流Iは、
I= $\frac{V}{Z}$= $\frac{200V}{√3×10Ω}$= $\frac{20}{√3}$ A となります。
4. 抵抗8Ωに掛かる電圧VRを求める
抵抗8Ωに掛かる電圧VRは、
VR= 電流I× R= $\frac{20}{√3}$ A × 8Ω= $\frac{160}{√3}$ V =92.5 Vとなります。
したがって、答えはニです。
2016年度 問6

1 電流値を求める
2 配電線路の電力損失を求める
1 電流値を求める

負荷A,Bともに800W、電圧100V、力率0.8と与えられています。電力はP=VIcosθなので、電流Iに変換すると、
I=$\frac{P}{Vcosθ}$= $\frac{800W}{100V×0.8}$ =10A となります。
負荷A、Bともに10Aなので、中性線には電流が流れません。
2 配電線路の電力損失PLを求める
電力損失PLはPL=I2×r ですが、1の図の通り配線は上・下にあるので、電力損失も2倍となります。
つまり、 PL=2×I2×r=2×10A2×0.4Ω=80W
したがって、答えはハです
2016年度 問7

1 合成百分率のインピーダンスは基準容量は10MV・Aなので、変電所の容量30MV・Aを10MV・Aに変換する
2 各合成百分率のインピーダンスを合計する
1. 変電所の容量30MV・Aを10MV・Aに変換(百分率のインピーダンスは基準容量は10MV・A)
変電所の百分率インピーダンス%Z30は18%、容量30MV・A、基準容量10MV・Aの百分率インピーダンス %Z10へ 変換すると、
百分率インピーダンス %Z10 は= $\frac{基準容量}{既存容量}$ × %Z= $\frac{10MV・A}{30MV・A}$ ×18=6%
2. 各百分率のインピーダンスを合計する (基準容量は10MV・A)
合成百分率のインピーダンス =電源側の百分率インピーダンス+ 変電所の百分率インピーダンス+ 高圧配電線路の百分率インピーダンス= 2%+6%+3%=11%
したがって、答えはハです
2016年度 問8

1 変圧器一次側の電流I1を求める
2 変流器二次側の電流Iを求める
問図を上記図のように、変圧器、変流器の記載、変圧器の一次電流をI1と二次電流をI2としています

1 変圧器一次側の電流I1を求める
変圧器は一次側と二次側は同じ電力値となります。したがって、二次側の電力P2を求めると、
P2=210V× I2 =210V×440A =92,400Wとなります。
一次側電力P1と二次側電力P2は同じなので、P2=P1=6600V× I1=92,400Wとなりますので、
電流I1の形に変換すると、一次電流I1=$\frac{P1}{6600V}$=$\frac{92400W}{6600V}$=14Aと求めることができます。
2 変流器二次側の電流Iを求める
変流器に25A / 5A と記載がありますが、これは電流比といいます。変流器は二次側に流れる電流を小さい値に変換する機能があり、どれくらい小さい値に変換するかは電流比によって異なります
問は$\frac{25A}{5A}$なので、電流比=$\frac{25A}{5A}$=5となります。これは二次側電流を$\frac{1}{5}$倍にするという意味です
変流器一次側には、電流I1(=14A)が流れていますので、電流比=5=$\frac{変流器一次側電流I1}{変流器二次電流I}$ を変流器二次電流Iの形に変換すると、
変流器二次電流I=$\frac{変流器一次側電流I1}{電流比}$=$\frac{14A}{5}$=2.8Aとなります
したがって、答えはロです。
2016年度 問9

1 等価回路を作成
2 電流Iを求める
3 A点の対地電圧を求める
1 等価回路を作成
変圧器二次側とB種接地抵抗とD種接地抵抗は下記の図のような等価回路となります。

2 .電流Iを求める
電流Iは、I=$\frac{105V}{20Ω+10Ω}$=3.5A となります
3. A点の対地電圧Vを求める(D種接地抵抗に掛かる電圧)
対地電圧V=電流I×D種接地抵抗(ED)=3.5A×20Ω =70V
したがって、答えはロです
2016年度 問11

これは公式なので覚えるしかないです。

電動機の出力は、E=$\frac{I}{r^2}$ 【lx】 (I:光度【cd】, r:床面上の高さ【m】)
したがって、答えはニです
2016年度 問12

回転速度の公式は N=1$\frac{120f}{p}$×(1−s)【min-1】 ≪f 周波数 p極数 s 滑り≫
同期速度の公式は、Ns=1$\frac{120f}{p}$【min-1】
回転速度の公式は N=$\frac{120f}{p}$×(1−s)【min-1】より、周波数f=50Hz 極数p=6 滑りs=0.05 を代入すると、
N=$\frac{120f}{p}$×(1−s)=$\frac{120×50Hz}{6}$×(1−0.05)=950【min-1】
同期速度の公式は Ns=$\frac{120f}{p}$【min-1】より、周波数f=50Hz 極数p=6 を代入すると、
Ns=$\frac{120f}{p}$×(1−s)=$\frac{120×50Hz}{6}$=1000【min-1】
同期速度Ns – 回転速度N= 1000- 950 = 50【 min-1 】
したがって、答えはロです。
2016年度 問16

水力発電の水車出力Pは、P=9.8QHnにて求めることができます。(※n:効率)
したがって、PはQ、Hに比例するので、答えはイとなります。
以上、お疲れさまでした。
「出典:2016年度 筆記試験 第1種電気工事士 :一般財団法人電気技術者試験センター 試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター (shiken.or.jp) 」